リーダーの嫁は紅一点(仮)2

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坂「確かに……それは、考えてなかったな」

「私もだよ。スタッフの人にも聞かれなかったし。」

剛「でも、なんで急に？」

「撮影先でさ、その話が出たのよ。で、私に話振って、そのままみんなの妄想が独り歩き。」

坂「よくあるな」

「でしょ」

すみません、ぶどうサワー1つ……って通りすがりの店員に頼みながら、俺の言葉に何度も頷くA。
すると、剛が突拍子もないことを口から零した。

剛「長野くんに頼めば？」

坂「「え？」」

剛「Aが頼めば1発だろ」

「長野くんって、あの、ひろくん？」

剛「他に誰がいんだよ」

坂「いや、それにしたって急すぎるだろ」

「うんうん、さすがの私もそれは遠慮する」

剛が頼んだおでんの大根を、勝手に取ってはカラシをつけているAの姿が、どこかのサラリーマンに見えて思わず笑いが出そうになる。

けど、そんなのお構い無しに剛がAのことをじっと見つめた。

剛「俺は、見ず知らずの人をAの横に歩かせるくらいなら、何十年も一緒にいた長野くんに歩いてもらった方が安心はする」

「……はぁ…？」

坂「いや、剛、お前どうした」

酔ってるのか分からないけど、やけに饒舌で真剣な顔をしてる剛に、俺と彼女は戸惑ったように顔を見合せるしか無かった。

剛「とりあえずさ、長野くんに聞いてみたら？

……俺、帰る。眠くなってきた」

坂「ちょっ、言い逃げかよ！」

剛「坂本くんもAも、飲みすぎて明日のレコーディング遅刻すんなよな」

帽子を被って、あの独特な笑い声を響かせながら姿が見えなくなると、Aが俺を見つめてくる。

「どうする？」

坂「どう、って……隣を歩くのはAだし、俺は誰でもいいよ」

「じゃあ……ひろくんに、頼んでみる？」

坂「いいんじゃねぇの？お前がそれでいいなら」

ぬるくなった生ビールに、顔を顰めながら言えば2杯目のサワーを飲みきった彼女が、何かを決めたような顔でグラスを置くと、スマホを取り出す。

坂「……おい、まさか…」

「今電話して聞いてみる」

坂「今？！お前、やめとけって、時間おせぇし……それにここ、外だぞ」

「でも、式の日に予定が入ってたらダメでしょ。

入る前に聞かなきゃ…招待状も送ってないし」

耳にスマホを当てながら話す姿に、まぁ確かに…なんて納得する。

もしもし？と声が聞こえ、店員に向けて手を上げると、嬉しそうな声が聞こえてくる。

その声を聞いて、あ、承諾したな、なんてことが脳裏に過ぎった俺だった。

＊“ 俺ら ” のお姫様→←＊

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