心を鬼にして ページ34
『かはっ!』
見上げた瞬間チカチカと瞬く視界。必死に首を抑える腕を掴むが抵抗出来ていないことは分かっていた。
『イレブ…ンさ…』
彼の大きな瞳は純粋なあの青ではなく、意志を持たない金色へと変貌していた。キーラとダーズの様子も見に行きたいけれど、ここで畳み掛けられたらまずい…。そこでAはイレブンの腕をそっと離し、腰の剣に伸ばす。頭に靄がかかって殆ど何も見えていないが、短剣を抜きさえすればもうこっちのもの。ザシュッとイレブンの腕を切りつけた。
イレブン「!?」
漸く首が解放されて咳を数回する。彼を見直すと切り口を抑えてこちらを睨んでいた。抑えた指の隙間から紫色が漏れる。修復される前にとどめを刺さなくては。イレブンに向かって突き出した剣を、白い矢が軌道を変えさせた。
『え!?』
ピット「今だ!やっちゃえイレブン!」
キーラを振り切ったピットが矢を放ってきたのだ。ピットが喋るのと、前のめりになったAがイレブンに抱きつくのが同時に起こってイレブンは戦闘不能に。ブラピの舌打ちが聞こえた。
ピット「うぅ、コイツらの対処もしなくちゃいけないのに!」
再び戦い始めたピットたちを横目に素早く上着を脱ぐ。少し身軽になったところに火が飛んできた。
『うわ!火!?』
アルス「外したか」
ここで他の勇者も参戦。アルスが正面に姿を現したことで、両側にもソロとエイトが立っていた。
ソロ「イレブンがしくじるなんてな」
エイト「流石に女の子相手に3人掛りじゃ勝てるさ」
じりじりと全方向から詰め寄られる。後ろの木が邪魔してもう下がれない。3人を順番に睨んだ。
(今は心を鬼に…大丈夫、ここで倒さなくちゃ勇者たちは戻れないんだ…!)
イレブンのフィギュアを持って走り出す。アルスが剣を振るがイレブンで塞いで負傷は免れた。アルスをフィギュアの下敷きにして自由を奪い、加勢しようと向かってきたソロの剣を短剣で受け止める。エイトには銃を発砲した。
エイト「がっ」
ソロ「エイト!ぅぐあ!」
エイトに気を取られているソロを押し返して、胸元を下から切り上げる。起き上がりかけたアルスには抱擁を送った。
『はぁ…はぁ…多人数戦って、疲れるんだなぁ…はぁ』
静かになったその場はAの息だけが響いていた。
ダーズ「派手にやったな」
『大変でした…ところで、ピットたちは?』
滝の根元を見やると、パックンが2人のフィギュアを回収しているところだった。
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粗大ゴミ(プロフ) - 青い氷さん» コメントありがとうございます!こんな妄想の垂れ流しを褒めてくださるなんて嬉しいです…!拙い駄文ですがゆっくり投稿していきますので是非最後までお付き合い下さい(*^^*) (2022年8月13日 15時) (レス) id: fd182a523e (このIDを非表示/違反報告)
青い氷(プロフ) - すごく面白いです!更新頑張ってください!!応援してます! (2022年8月11日 21時) (レス) id: 76e242a4de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:粗大ゴミ | 作成日時:2022年6月16日 1時