いつも見ていた世界【ブレスオブザワイルド】 (ページ10)

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炎のカースガノンページ10

思った通り、カースガノンが姿を現した。ここは炎の神獣だから炎のカースガノンだろうか。怯む足を無理やり動かして走る。

リンク「っおい！A！」

『私が囮になるから今のうちに弱点を見つけて！』

カースガノンがいい感じにこちらへ意識を向けるように、目の前スレスレを走り抜ける。武器である槍が重くて上手く走れないが、人生で1番と言ってもいいほど全力で足を稼働させた。炎のカースガノンは時折ダルケルのようなバリアをはっていた。

『はぁっ、はぁっリンク！リモコンバクダン！』

リンク「え！？あ！ああ！」

突然の指示に動揺しつつもリモコンバクダンを持ったリンクがこちらへ走ってくる。あのバクダンは自分もダメージを受けてしまうためルーダニア背面の柱に隠れた。リモコンバクダンが真後ろで起動する。激しい爆風と共にずしんと大きな音が聞こえた。

リンク「ふっ！はあっ！」

ガスガスと明らかにカースガノンを殴っているような音が聞こえ、妙に音がリアルだなと感じながらも加勢に向かった。ダウンの時間には制限がある。復活する前に出来るだけダメージを与えて…！

『やぁっ！たあっ！』

槍でズカズカ刺していくと、初めて狩りをしている気分になった。これから色んな所に行く上で狩りもするんだろうなぁとか呑気なことを考えていたら、カースガノンが復帰していた。

リンク「A！」

『わっ！やべ！』

カースガノンが振り回した腕に払い落とされてしまい、ルーダニアの下へ。落ちる前に神獣の出っ張りを掴めたからいいものの、体が浮遊している感覚はどうも気持ちが悪いものだった。足の着き場がなく、掴んでいる左腕もすぐ限界を迎えそうだった。

『んっ…なんとか…体を持ち上げてっ…』

特に鍛えている訳でもない腕はそれより重い体を持ち上げることが難しく、嫌な汗が吹き出した。

『はっ…だめ…かもっ…ふっ』

無意識に笑みが零れた。ここで死ぬのも悪くない。彼に出会えたのだ。絶対に会えるはずのない、世界線を超えた出会いだ。

『せめてお別れぐらい』

リンク「何がお別れだって？」

上から声がした。見るとリンクが手を伸ばしてくれている。あ、倒したのか。そう思ったAは素直にその手を空いている手でとった。ぐいと思い切り引き上げられてルーダニアの上へ再び戻る。

『わぷっ』

リンク「ぐえ」

どちらもだらしない声を出して倒れる。勢いよくリンクの上へダイブしてしまった。顔を上げると端正な顔立ちが眼前に広がっていた。