童 ページ42
ルージュ「待っておったぞ。ふふ…語らずともよい…これでもこのゲルドの族長だ、お前から溢れる神器の力ぐらい分かるわ」
リンク「流石族長」
『そう！取り返せたよ！兜！』
ルージュ「ああ、感謝している…わらわはまだ童じゃ、これから民たちを引っ張っていける族長にならねばと気を張っていて、苦しいこともあったものだ…正直神器を盗まれたときは目の前が真っ暗になった」
そうだルージュは、族長といってもまだ小さな子供。そんな子が急に族の長になるだなんて、なんて過酷な世界なんだろう。私はそんなこと耐えられないと思う。けどゲルド族にとっては、この子しかいなかったんだろうな。そしてルージュも、それに答えようと…気づくと私はルージュを抱きしめていた。
ルージュ「！？」
『ルージュ…頑張ったんだね』
ルージュ「…そんなにお前が気負うことではない、これはこうなる運命だったのじゃ」
『うう…ルージュぅ〜』
ルージュは泣き始める私の頭を軽く撫で、リンクを見つめて話を続ける。
ルージュ「そんな中、お前たちが尋ねてきてくれたのはウルボザ様のお導きであろう…」
私が鼻をすすりながら離れると、さぁ兜をここへ、とルージュが手を差し出す。リンクは雷鳴の兜をルージュに渡した。そのままルージュが兜を被る。小さな頭ではその兜は大きすぎたようだ。
ルージュ「…ど、どうだ？」
『ちょっと大きいかな』
ルージュ「やはりか…」
『かっこいいけどね！ね！リンク！』
リンクを見ると目を閉じて立ち竦んでいた。あ、これは。
リンク「…っは！」
『おはよう』
リンク「…ウルボザ…うん、思い出したよ」
ルージュ「どうした？ボーッとして？…それよりも、ど、どうだ！似合うか？」
リンク「ちょっと大きいかな」
ルージュ「同じことを言うのだな…」
リンク「え？」
〜〜〜〜〜〜〜
再びスナザラシに乗り監視所へ。先に待っているとルージュは言っていたが、見当たらない。すると上から声が聞こえた。
ルージュ「おーい！ここじゃ！ここまで来てくれ！」
『今行くー！』
梯子を登り、ルージュの元へ向かう。彼女は神獣を見据えて話し始める。
ルージュ「見えるか？神獣ヴァ・ナボリスは目前じゃ。アレに近づくにはスナザラシが必要だが、いけるか？」
リンク「勿論」
『大丈夫！あと、神獣はどうやって止めるの？』
ルージュ「ああ、隙を見てバクダン矢で四足を撃ち抜いてくれ。先導はわらわが行う」
バクダン矢を受け取った。
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作者名：粗大ゴミ | 作成日時：2021年9月22日 3時
