イーガ団 ページ36
吹き荒れる砂嵐が、目の前を眩ませる。物凄いスピードで砂上を走るAとリンクは一生懸命に紐を掴んでいた。
『うぉおぉお!早い早い!めっちゃ砂かかる!!』
リンク「あんまり叫んでると口に入るぞー!」
『分かってるよ!にしても流石スナザラシちゃん!これならすぐ着きそうだよ!』
スナザラシを操作し目的地に向かっていた。この事の発端は、30分前に遡る…
〜30分前〜
ビューラ「しかしまだその者達の正体もはっきりせぬまま…そのような重大なことを任せるのは如何なものかと…まずはどうでしょう、兜の奪還をその者達に頼むというのは」
『兜?』
至ってビューラは冷静なようで、すんなり進みそうだった神獣侵入計画は彼女の発言によって崩れていった。
ルージュ「なるほど確かにな…実はな、ナボリスの雷に唯一抗うことが出来るゲルド族の神器、「雷鳴の兜」があろうことか賊どもに奪われてしまってな…」
『え!?一大事じゃないですか…』
ビューラ「ご心配なさらずとも、本当に英傑というのであれば簡単に取り戻してくれましょう」
ビューラが軽く煽り口を入れてきた。なるほど、これで士気を上げる作戦か。かくして、Aたちは兜を奪った賊、イーガ団のアジトへ乗り込むことになったのであった。
そして今に至る。
『ひゃー!そろそろキツイかも…手が摩擦で痛い、リンク、まだか?』
リンク「いや、もうすぐそこだ。降りるぞ」
ほっ!とリンクが急に紐を手放して降りた。私はリンクの速さに対応できず、結構先まで滑っていってしまった。
『ぶっ!?ぺっぺっ!砂食った!!』
リンク「ほら置いてくぞー」
『ま、まって!』
口内に砂が入ったAを全く心配せずにリンクはずんずん進んでいく。狭めな通路は如何にも隠れ家という雰囲気を醸し出していた。
『ねぇそんなにずかずか入って行って大丈夫?ここアジトなんでしょ?』
リンク「敵が来れば倒すだけだ。今までのイーガ団もそうだっただろ?」
旅の途中で一人の旅人に声をかけられることが多くなった二人。しかしそれは高確率でイーガ団が化けた者だったことを思い出し、それなら大丈夫かと変に安心してしまっていた。
ふいに気配を感じた。リンクも同じようで、同時に後ろを振り向く。
イーガ団「はっ!」
『うわ!』
リンク「ふん!」
案の定イーガ団が弓矢を構えて出現していた。間一髪で避ける。
リンク「でたなイーガ団」
『冷静すぎる!私弓矢系の敵苦手なんだよー!』
一目散に走った。
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作者名:粗大ゴミ | 作成日時:2021年9月22日 3時