選んだ人 ページ26
Aを抱きながらシーカーストーンを翳す。メイン制御装置を起動させると思い出の中の、聞きなれた声が。
ミファー「ありがとう…お陰で私の魂は解放されて、このルッタも取り戻せた」
現れたミファーは確かに記憶の中と同じ格好をしていた。
ミファー「でも…昔の様に遊ぶのは、もう無理みたい」
悲しげな笑顔で、ゆっくりこちらへ歩み寄ってくる。波紋が広がる。
ミファー「治癒の力も、魂だけになった今の私にはもう使えない…だから、貴方たちに託すね。私の力…」
ミファーの祈り。彼女が腕を伸ばすと、光の玉が出現してリンクとAの胸に収まった。
ミファー「その子も、これから貴方と旅をするんでしょう?貴方だけじゃ、守りきれるか心配だもの」
リンク「そう…だな」
くすくすと、悪戯に笑ってくれた。少し、気持ちが緩んだ。また寂しそうに表情を変えたミファー。
ミファー「昨日まで、ずっと泣き続けてた…魂だけになってここに囚われて…これから永遠に一人きりなんだって
だけど今日、貴方たちが救ってくれて、こうしてもう一度逢えた…」
心底嬉しそうな顔になるミファー。表情が豊かなミファーは見ていて心が癒された。
ミファー「そしてこれからは、私の力が二人の助けになれる…だから、もう大丈夫…その子の気持ちも、ちゃんと伝わったよ」
リンク「…こいつは…」
ミファー「ううん。言わなくても分かる。リンクが選んだ人だもの。安心して任せられるわ…」
リンク「やっぱり、そうだと思う?」
ミファー「自分を信じて。リンクと戦っていた時のAの顔、とってもキラキラしてて楽しそうだった」
リンクはもう一度Aの顔を見る。今は穏やかに寝息を立てて、すっかり夢の中のようだ。
ミファー「じゃあ行くね…私とルッタの御役目を果たさなきゃ…貴方たちがあの城でガノンと戦う時の援護…
今度は失敗しないから」
リンクの体が光り出す。託されたミファーの強い意志に、自然とAを抱える手に力が入る。
ミファー「リンク…A…あの人を、姫様を…助けてあげて…二人のことも、ずっと忘れない…」
リンク「ああ。ありがとうミファー」
二人は光の粒子となり、外へ出た。
〜〜〜〜〜〜
王「あれほど猛威をふるった豪雨が嘘のように止み、この里の危機は消え去ったゾヨ!」
シド「ゾッ!ゾッ!ゾッ!最高だゾッ!」
ドレファン王の元ではリンクがゾーラの民たちから称えられている。Aは少し離れて様子を見ていた。
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作者名:粗大ゴミ | 作成日時:2021年9月22日 3時