胸の痛み ページ23
?「私…思ってた、いつか貴方がここに来てくれるかもって…ガノンに乗っ取られたこのルッタを、取り戻しに来たんだよね…?」
リンク「ああ。君もだ。ミファー」
ミファー「え?」
突然聞こえてきた声の主は、やはりミファーだった。あの見た目から出ている声だとすぐ判断できる程透き通り、落ち着く音だ。そんなミファーを、助けに来た、とリンクは答えた。少し、胸が痛んだ。
ミファー「…嬉しい…それならまず、内部の構造を示したマップを手に入れて…」
数拍おいて、ミファーがうっとりと話し始める。そりゃそうだろう。想い人から「助けに来た」なんて言われたら。二人は私を気に留めなかった。
リンク「わかった。よし、行くぞA」
『あ…うん』
リンク「どうした?さっきからボーッとしてるぞ」
『なんでもないよ!ライネルに踏まれたから体がちょっと痛むだけ…』
リンク「はぁ!?ライネルに踏まれた!?」
今まで淡々と聞いていたリンクが急に大声を出すものだから、こっちまで驚いた。がしりと強く両の肩を捕まれ全身を確認される。なんか恥ずかしい…。
リンク「何でそれを早く言わないんだよ!怪我してるのか!?」
『いや怪我は、してない…ダルケルが護ってくれたし』
リンク「だっ、ダルケル…!?うっ…ならいいけど…あんまり痛むようだったら言ってくれよ!な?」
『お…おぉう』
リンクの勢いが凄過ぎて、微妙な返事しか出来ないA。ダルケルの名前を出した時ちょっと悲しんでたような…。そこから彼は、とてもAを気遣ってくれていた。
『あのぉリンクさん…これは流石に私でもできr』
リンク「獣人に踏まれた人は黙ってくださーい」
『くそ…』
これからネタにされそうだ。獣人ネタ…。まぁこれで少しでもリンクが頼りがいのある男になってくれたら、これから彼のお嫁さんになる人は安心だろう。私が育てました!と自慢げに彼を婿入りさせる自分が想像できる。
(…あれ)
おかしい。それが彼の幸せなはずなのに、何故か彼の隣に自分が居ない未来を想像して胸がズキンと痛む。いやいやいいんだ。ミファーみたいな綺麗な人がリンクにはお似合いだ。私は所詮この世界のイレギュラーなのだから。胸の痛みは強くなっていた。
リンク「よし!これが最後だ!」
『これは…ルッタの鼻から出てる水が使えるのでは?』
リンク「なるほど。動かしてみるか」
ゴゴゴと鼻が稼働する。石造りなのに滑らかに動く鼻は、少し怖くも感じた。
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作者名:粗大ゴミ | 作成日時:2021年9月22日 3時