光闇2 ページ2
窓からの重たく、眩しい白いものによってAは目を開けた。
自分の体を包囲している兄、快斗の手を振りほどいてベッドから出る。
他者から見れば、朝の窓からの淡い光はとても幻想的で、元気になるものだろう。
しかし、Aには太陽による瞳へのグサグサとした攻撃、遮断にしか思えなかった。
「また快斗兄カーテン開けっ放し」と小さく呟きながら少し背伸びをしてシャっとカーテンを閉じた。
「快斗兄、朝だよ起きて」
「んん……まだ暗いじゃねえか」
快斗は器用に左目だけを開け、辺りを見回した。カーテンによってカットされた光は勿論部屋に入ってくることがないのだから、快斗が暗いと判断するのも妥当である。
「カーテン閉めたからだよ……。早く起きてってわぁっ！」
ベッドの横に立って快斗の体をゆさっていたAは快斗の力に抗えず、再び包囲された。
「Aは暖かいなあ」
のほほんとAに口で微笑んだ快斗はもう眠ってしまっていた。
「あと十分だけだよ、快斗兄」
Aも微笑み、再び真っ暗な世界へと引きずり込まれていった。
十分後、体内時計でAは起床すると、快斗を叩き起すことに成功した。
快斗は壁時計を一瞥しながらくわぁと欠伸をして、Aを抱っこした。
「快斗兄、私もう小学生っていうのになるんだよ？」
「いーのいーの。Aは俺が抱っこしたい」
それでもAは嫌々と快斗に駄々をこねる。
「しょうがねぇな」と半分呆れた快斗は寝巻きのポケットから鳩……ではなく鳩のぬいぐるみを取り出した。
「ほらよ、これあげるから大人しくな」
「むぅ……分かった」
「いい子いい子」
快斗が優しくぽんぽんとAの頭を叩くとふふふと褒められた時用の笑顔を見せた。
とんとん階段を下り、隣の家のインターホンを押す。
「いいわよー入って！」
中から元気な声が聞こえてきたので、早速上がらせて貰うと、中からは香ばしいパンの香りが漂ってきた。
「青子姉、おはよう」
「おはよう、Aちゃん。兄妹仲良いわねー」
「だろ？」
「快斗はまたAちゃんに起こしてもらったんでしょ」
青子はジト目で快斗を睨みつけた。
「いや、いや、今日はちゃんと起きた」
「なあ？」と快斗はAに救済を求むが、結局Aはぶんぶんと首を振り「私が起こしたんだよ」とニッコリするだけだった。
勿論Aの言葉に青子は倦怠した。
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作者名：りんごジャム x他1人 | 作成日時：2019年5月10日 0時
