一夜 ページ7
Takanori.I
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彼女を自分だけの者にした。
それがどれだけ嬉しいか君は知ってるだろうか。
元から感じていた普通じゃない家庭環境。
本人はそれを知ってるからこそ隠すそれ。
俺が拭ってあげたい。
ひとりじゃないって伝え続けたい。
二つ下の彼女を誰よりも会いそうと決めた俺は、
愛しい彼女の寝顔を見つめて眠りについた。
手は出してないから安心して欲しい。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
Aと俺はほとんど同時に目が覚めた。
まぁ今日は余裕がある日だから何も問題は無い。
「おはよう」
『……おはようございます……』
彼女が朝に弱いのは知ってる。
早朝の撮影時、ずっと辛そうなのにも気づいてた。
「覚えてる？」
『……はい。
昨日泣いて、こっち来てから酔い醒めてたんで……』
「そっか」
寝起き特有の気だるげな表情は初めて見た。
これを見れるのが俺だけの特権だって考えるとニヤけそうになる。
「付き合ったこと、公表したい？」
『極力、知られたくないです。
気づかれるまでは』
「そっか。
けど、HIROさんにだけは言わなきゃだね」
『それは、……そうですね』
話してて思った。
雨宮兄弟にはバレそうだなって。
そう考えてると、Aが擦り寄ってきた。
「A……？」
『……久しぶりだったから。
こうやって、誰かと同じ布団で目を覚ますの』
「……いつぶりなの？」
『保育園かなぁ……。
それ以降は本当に一人だったから』
少し嫉妬しそうになった自分を恨む。
けど、今のAはすごく幸せそうだ。
『布団って、こんなに温かいんですね』
「……それは俺も思ってた」
Aを潰さない程度に抱きしめる。
こうして俺たちは、人を愛する喜びを学んでいく。
愛されることを学び、愛することを学ぶ。
「A、好きだよ」
『私も好きです』
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作者名：雪乃 | 作成日時：2023年6月22日 19時
