景色 ページ49
Takanori.I
「A、今月下旬、名古屋行かない？」
『ご実家に？』
「違うよ、ちょっと旅行に」
『おっけー』
十一月下旬。
地元名古屋の紅葉が見頃だと聞いていたから、俺は俺らのマネージャーに頼んだ。
どうにか調整をつけてもらって、Aと休みを揃えた。
そして当日。
朝の新幹線で、俺らは名古屋に向かった。
Aは新幹線の中で、ずっと新曲の振付を確認してた。
「熱心だね」
『撮影近いからね』
「休み明け？」
『うん、初日が撮影』
一泊二日、それでも時間は十分だった。
早い時間から動いていたおかげで、昼頃には旅館に着いた。
「二人で予約してる岩田です」
「岩田様ですね、お待ちしておりました。
お部屋のご用意が整っておりますので、ご案内致します」
『よろしくお願いします』
この旅館は、よく芸能関係者が予約取るから、俺らもスムーズで。
俺らは離に案内された。
『素敵なお部屋ですね』
「お褒めに頂き光栄でございます。
では、お二人の時間をご堪能くださいませ」
失礼します、と綺麗に頭を下げられて、女将さんはここから離れた。
俺らは荷物を置くと、部屋内を歩く。
『え、凄い！庭に紅葉と温泉あるよ！』
「綺麗だね」
『うん！』
「ここ、夜は紅葉がライトアップされるんだって」
離から見える庭には、仕切りがあるので外界から断ち切られてる。
だから、今は完全に二人の世界だ。
『え、これじゃここから出なくていいから良いね』
「俺と思ってたより綺麗でビックリしてるよ」
『思ってたよりって何よ』
ふふっ、って笑うAの横顔は綺麗で。
俺は彼女から景色に目を戻して、より実感した。
(ただの景色でも、愛してる人と見る景色は全然違うな)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 125人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪乃 | 作成日時：2023年6月22日 19時
