役者だから ページ35
坂本Aです、某雑誌に載ることが決まったのですが。
その撮影が、まぁ下着姿と言いますか。まぁ衣装ですけど。
撮影が忙しくて家に帰れなくなる日が続く彼に、漸く話したのが撮影前日。
『先に謝ります、ごめんなさい』
「……まぁ、仕方ないよね。仕事だし……」
良い気はしないけど。
とボソッと呟くお兄さん。
お仕事ということで、許可は撮れたのですが。
私の認識は、仕事だから。役者だから。
そう割り切って、自分を守ることにした。
カメラ「そうそう、少しシャツをはだけさせて、見えそうになるまで」
『………』
カメラ「いいね！流し目最高！」
ベッドシーンの撮影なのだが、要求が際どい。
正直、見られるためにこの仕事してなかった。
どうしても、そういう風に見られるのは理解してるつもりだ。
けど、自ら晒すのは、正直やりたくなかった。
世の中にそういう為に仕事してる方だっている。
カメラ「アンニュイな感じがまたいいねぇ……！」
あと、カメラマンさんの問題もあるのだろうか。
スタッフさんも、男性女性問わずいるけど、居心地悪い。
気持ち悪いと思ってしまう。
カメラ「次シャワールームで写真撮ろっか！」
そう言われて連れていかれたのはガラス張りのシャワールーム。
シャツのまま、シャワーを浴びて、ガラスの向こうのカメラを見る。
カメラ「いいねぇ……」
多分、相手は仕事で何とも思ってない。
私が勝手に、反応してるだけ。
そのままその日の撮影は終わった。
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マネ「そんな浮かない顔しない。次の収録あるんだから」
『……持ち直すから、少し待って貰えませんか』
マネ「時間が無いから、三分で」
この人とは相変わらずだ。
マネ「時間ないから移動しながら直して。
仮にも役者なんだから、人に会えば変われるでしょう」
『……っ』
マネ「次はバラエティなんだから、笑ってもらわないと困るよ。
相手に気遣わせたら意味無いからね」
正論過ぎて痛い。
めちゃくちゃ鋭すぎるって。
これに至っては力不足な私が悪い。
『……ごめん、切り替えます』
マネ「それで良いです。
次から時間かけないでください」
『……分かった』
なら、私が心を殺すだけだ。
私は役者だから。
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作者名：雪乃 | 作成日時：2023年6月22日 19時
