あれから ページ4
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『おはようございます』
岩田「おはようございま〜す」
撮影でITOKANに集まった山王連合会。
岩田さんとは近からず遠からずの関係を築かせてもらってる。
とは言っても、食事はよく一緒に行くし、飲みにも行く。
下らない連絡もこまめにしてる。
岩田「ねぇ聞いて」
『なんですか？』
岩田「朝さ、洗面所に入ったの」
『はい』
岩田「顔洗って、歯磨いて、よし出ようって扉開けたのさ」
『ん』
岩田「朝からこんにちはしちゃって」
『ふふっ』
岩田「見てここ、腫れたの」
『まぁまぁ勢い合ったんですね』
撮影の合間に下らない会話もしている。
その何気ない時間が楽しい。
岩田「ねぇ、今日さ撮影終わったらご飯行かない？」
『どこですか？』
岩田「スタジオの裏手のところ」
『あー、イタリアンの』
岩田「そうそう、行ってみない？」
『良いですよ、行きましょ』
やった、と素直に喜ぶ彼を見るのは好きだ。
彼の雰囲気に、私は気を張らなくて済む。
正直人見知りが酷い私は、挨拶以上のことは苦手だ。
なのだが、彼の気を張らなくても良い空気に絆されて、
ご飯に行き、時間と想い出を共有している。
岩田「撮影頑張ろう」
『ですね』
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
『んっ、美味しいです』
「ホントだね」
仕事終わり。
アクション練習を終えた私達は、岩田さんが行きたいと言った
イタリアンにやって来た。
『食べやすいですね』
「あんまりこってりした味付け得意じゃないみたいだから、調べてみたんだけど」
『……！』
「合ったみたいで良かった」
私は驚きを隠せなかった。
岩田さんは何気ない笑顔で笑ってくれている。
なのだが私は初めて貰ったその言葉が嬉しかった。
ずっと誰かに見てもらいたかった。
その願いが叶った今、
私は震えそうになる手や、
溢れそうになる涙を堪えて
パスタを食べ進めた。
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作者名：雪乃 | 作成日時：2023年6月22日 19時
