おかえり ページ15
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何とか頑張ろうと思った。
けど、一度限界と思った心は重くて。
そんな時、剛典くんに「頑張ってて偉いね」って言って貰えた。
小さい時からずっと欲しかった言葉を、沢山くれる剛典くん。
付き合ってまだ数ヶ月だけど、どんどん好きが溢れていく。
たった数日会えなかっただけで、凄く寒く感じる。
けど今日は、剛典くんが帰ってくる日。
私は彼を思ってご飯を用意して待っていた。
「ただいま〜」
『おかえり！』
私が出迎えると、剛典くんは私を抱きしめてくれた。
これが欲しかった。
この温もりが欲しかった。
泣きそうになってると、剛典くんは優しく背中を叩いてくれて。
「頑張ってるね、A。
偉いね、A」
『っ』
我慢してたものが全部出てしまって、
剛典くんの肩に顔を押し付けて泣きじゃくった。
その間、剛典くんはただ抱きしめてくれて嬉しかった。
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『ごめんね、疲れてる時に。ありがとう』
「Aはさ、気遣い屋でさ頑張り屋さんだけど。
俺の前でだけは、我慢しなくていいんだよ」
『……』
「だから、電話で頼ってくれた時、沢山のことを思った。
またこの子は頑張りすぎてるんだなって。
けど俺には頼ってくれたんだなって、甘えてくれたんだなって。
それから、どうして俺は隣にいてあげられないんだろうって」
『……』
「頼ってくれて、ありがとうA」
お味噌汁を温めていた私は、あれだけ泣いたのにまだ溢れる涙を拭った。
『ご飯食べよ』
「うん」
お味噌汁を注いで、メインの魚をお皿に移して、お漬物とおひたしと。
剛典くんがご飯とかあれこれ準備してくれたおかげで、早く席に着けた。
「『頂きます』」
ご飯を食べながら、剛典くんが言い出す。
「ずっと考えてたことだけどさ、」
『……』
「メンバーにだけは、明かしたい」
『……』
「その方が、俺も動きやすくなると思う。
こういう時、近くにいれば駆けつけてあげられる」
『……』
「それに、メンバーは俺にとって兄貴みたいな人達なんだ。
だから、紹介したいって思った」
『…………山下さんと剛典くんの絡みを見てて、それは分かってた。
きっと、愛されてるんだなって』
「……うん」
私はお味噌汁を飲んで頷いた。
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『報告、しよっか』
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作者名：雪乃 | 作成日時：2023年6月22日 19時
