お揃い ページ12
Takanori.I
デートの後、俺ん家に帰ってきた。
帰りにちょっとバーに寄って、二杯だけ飲んで帰ってきた。
「おかえり」
『ただいま』
何度も、何度も、おかえりと出迎えて、最近ただいまと言ってくれた。
俺の勝ち。誰とも勝負はしてないけど。俺の勝ち。
手洗いうがいを終えた後、Aは床に座って台本を読み始めた。
「頑張るね」
『今日NG五回出したのマジで焦ったからさ。
ちゃんと頭に叩き込もうって思って』
珍しくAがNGを連発した今日。
まぁ俺らは可愛くて笑ってたけど。
「どうする、お風呂入る？」
『シャワーだけでいいよ』
「おっけー。
先シャワー行ってくるね」
『ん、行ってらっしゃい』
.
.
どっちもシャワーを浴びて、ゆっくりしてる時。
『剛典くん』
「ん？」
『はい、プレゼント』
そう言って、どこからか紙袋を取り出した。
「え、何〜？」
『……見てのお楽しみ』
そう言われて中身を開けると、気になっていたパーカーだった。
後Tシャツも入ってる。
「めっちゃ嬉しい」
『似合うかなって思って、買ったんだけど。
気に入ってもらえてよかったよ』
「ねぇ、重たいのって好き？」
『え？重たい？
太ったの？』
「そっちじゃない」
たま〜に天然出してくるAが可愛い。
「これ、俺からもプレゼント」
『え？』
いつ渡そうかなって思ってたけど、ちょっと流れで今渡すことにした。
Aは紙袋をゆっくり開けると、中から取り出す。
『これ……』
「そう、お揃い」
普段、俺が撮影以外で付けてるブレスレットと兄弟作のネックレス。
同じものを身につけたいって思ってたけど、ちょっと緊張する。
『嬉しい……ありがとう！』
そう言ってAは抱きついてきた。
俺は抱き締め返して、Aの耳にキスをする。
『ふふっ、ねぇ付けてよ』
「いいよ」
ケースから取り出して、俺はAの首にネックレスを付けた。
めっちゃ似合ってる。
「似合ってる」
『……ありがとう』
自然と唇を重ねて。
何度も重ねて、深くなっていく。
.
.
.
.
『ベッドが良い』
「おっけー」
.
「覚悟しててよ」
夜はまだ始まったばかり。
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作者名：雪乃 | 作成日時：2023年6月22日 19時
