第37話【 一騒動 】 ページ37
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クラインと肩を並べて教室へと続く長い
「 今日は図書室に行ってみないか? 」
『 …俺、文字読めねぇよ? 』
「 だからだよ。」
教えてやる。と笑うクライン。
読書などと言った娯楽は余り楽しめなかったAは図書室や図書館には足を運んだ事がない。
しかし、折角クラインが教えてくれると言っているのだから断るのも忍びない。
『 わかった、よろしく頼むわ。』
「 おー、任せとけ。」
無駄に大きな教室の扉を開き、未だに慣れない不思議な教室を見回す。
─────…何かを忘れている気がする。
僅かに感じた違和感。
Aは首を傾げつつ筆記用具一式を持つ為に、一度自分の席へと向かった。
「 …おい、Aッ! 」
『 ?! 』
勢い良く開かれた扉。大声で呼ばれる自身の名前。
そして何より聞き覚えのある声。
どうして彼が?と言う疑問を持ちつつ声がした方向へと顔を向ける。
「 テメェ、こいつ置いて行ってんじゃねェよ! 」
『 …チビ! 』
「 キュ…キュウ! 」
彼…ジェイルが腕に抱えているのはチビ。
チビはAの姿を捉えると小さな翼を広げ飛んで来た。チビを受け止め、ジェイルの元へ向かう。
『 わり…連れて来てくれてありがとな! 』
「 いつまで経ってもテメェは戻って来ねェし!そいつは扉に向かって寂しそうに鳴くし…ふざけてんじゃねェ!! 」
『 やっぱジェイルに任せて正解だったな! 』
「 ぶん殴るぞ!」
チビもジェイルの事を嫌っている様な素振りはないし、口ではこう言っていても何かと世話をしてくれたのだろう。
チビを相手に慌てふためくジェイルの姿を想像するのはそう難しくない。
「 俺は部屋に戻る。」
『 は?何で? 』
言いたい事を言い終えたジェイルは、溜め息を一つ零し、がしがしと頭を搔く。
「 …テメェだって聞いてんだろ。俺はこの学園内では前科者なんだよ。」
『 気にしなくて良くね? 』
「 あ? 」
『 どうせお前、部屋に戻って勉強でもしてんだろ?だったら俺に勉強教えろよ。』
「 ふざけッ…おいッテメェ、話聞けやァ!! 」
がっしりとジェイルの腕を掴んだA。
そのまま引き摺る様にジェイルを連れてクラインの元へと向かう。
後ろではジェイルが、離せやらクソ野郎やら
「 …彼も一緒に? 」
クラインが少しだけ顔を
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花冠(プロフ) - 2017年…四年前の作品で良い物を見つけてしまった…!もっと先に見つけれたら更新されて行く楽しみが味わえたかも…。すごい読みやすいですし、設定が神です!チビちゃんかわいい… (2021年3月18日 13時) (レス) id: 9f55fa5e42 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - 雛菊さん» 有難うございます、とても嬉しいです…!これかも期待に応えられるように精進させて頂きますね!これからもご愛読、よろしくお願い致します! (2017年12月1日 18時) (レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - 通知リストにあるかな〜と探すぐらい好きな小説です!とても読みやすくて大好きです!! (2017年11月30日 18時) (レス) id: b475004931 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - 風音迷夜さん» 沢山のお褒めの言葉…ありがとうございます!好きになって頂けてとても嬉しいです…チビは本当に人気がありますねw (2017年11月25日 16時) (レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
風音迷夜 - ありきたりじゃない世界観に分かりやすい説明、この作品好きになりました!チビちゃんかわいいなもう!僕惚れちゃった←チビドラゴンにww (2017年11月22日 21時) (レス) id: b791237619 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にじ | 作成日時:2017年9月26日 0時