第１話【 トリップ現象 】 ページ1
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唯々、真っ青な景色を見送りながら身体が重力に従って落ちて行くのを感じていた。
ばたばたと吹き上げる強烈な風に身に付けた衣服が踊り狂う。
一体、どうしてこんな事になったのか…。
それは、数十分程前に遡る。
俺、雪野Aはごくごく普通の高校生ってやつで今日も今日とて普通に通学路を歩いていたのだ。
いつも通りに朝食を済ませ、家を出て電車に乗る為に既に何十回通ったか分からない程に見慣れた通学路を歩く。
そして、いつも通りに駅に着いて改札口を通り過ぎ、友人の待つ高校へと登校する予定だった。
そう、あの出来事さえなければ。
『 学校だる…月曜って何でこんなに憂鬱なんだか…。』
休み気分が抜けない月曜日。
少し眠気の残るAは、本日何度目か分からない
目尻に溜まった涙を指先で拭っていると、視界の端に動くものが映った。
『 んー…？ 』
ゆらゆらと揺れる長い尻尾の様なものに、まだ小さい様だが背中には立派な翼。その独特のフォルムは物語や映画などでよく見るソレだった。
『 いやいや、まさかな…。』
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当たり前だ。
この現代社会において、
しかし、先程から視界に映るその姿は何度否定しようとも
真意を確かめようと近付き、ゆっくりと草根を掻き分ける。
ばっちりと視線が絡み合い、その小さな
よくよく観察してみれば、前足を怪我している様で血が滲んでいる。
『 何もしねぇから、怪我だけ見せてくれ。な？ 』
なるべく怖がらせない様にと、優しく言葉を掛けながら手を伸ばし傷口へとハンカチを巻く。
包帯は流石に常備していない為、これで許して欲しい。
『 飛べそうか？ 』
感謝するかの様に一声鳴いた
良かった、と安堵したのも束の間で。
気が付いた時には、Aが踏み締めていた大地は消え失せ周りは真っ青な蒼空。
落ちる、なんて妙に冷静な頭で考える。
重力に従って身体が落ち始める迄、あと１秒。
『 くそったれがアァァアア！！！！ 』
今世紀最大の俺の叫びは蒼空に溶けて消えた。
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花冠(プロフ) - 2017年…四年前の作品で良い物を見つけてしまった…！もっと先に見つけれたら更新されて行く楽しみが味わえたかも…。すごい読みやすいですし、設定が神です！チビちゃんかわいい… (2021年3月18日 13時) (
レス) id: 9f55fa5e42 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - 雛菊さん» 有難うございます、とても嬉しいです…！これかも期待に応えられるように精進させて頂きますね！これからもご愛読、よろしくお願い致します！ (2017年12月1日 18時) (レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - 通知リストにあるかな〜と探すぐらい好きな小説です！とても読みやすくて大好きです！！ (2017年11月30日 18時) (レス) id: b475004931 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - 風音迷夜さん» 沢山のお褒めの言葉…ありがとうございます！好きになって頂けてとても嬉しいです…チビは本当に人気がありますねw (2017年11月25日 16時) (レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
風音迷夜 - ありきたりじゃない世界観に分かりやすい説明、この作品好きになりました！チビちゃんかわいいなもう！僕惚れちゃった←チビドラゴンにww (2017年11月22日 21時) (レス) id: b791237619 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にじ
| 作成日時：2017年9月26日 0時
