第３３話【 優しさ 】 ページ33
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シオンに引き寄せられるまま彼女の肩口へと頭を寄せる。
身長差故だろう、シオンが爪先立ちになってしまう。
「 貴方、身長が高いわね…。」
『 シオンが小さいんじゃないか？ 』
誰も居ない中庭に２人の小さな声が響く。
首へと回されたシオンの腕は甘えなさい、と言う様に力が強められる。
Aは、降参だと伝える様にそっとシオンの柔らかな髪へ頬を寄せ目を閉じた。
「 ふふ、最初からそうやって甘えておけば良いのよ。」
『 うるせぇ…恥ずいだろ。』
「 あら、そんな事気にしてたの？ 」
『 するわ。』
遠慮がちにシオンの腰へと腕を回す。
嗚呼…もしかしたら、本当に不安だったのかもしれない。
彼女の細い身体を抱き寄せる。
「 もっと強く抱き締めてもいいわ。」
『 いや、もういい…離してくれ、シオン。』
「 もう終わり？残念ね。」
くすくすと笑みを零しながら身体を離すシオン。
蜂蜜色の瞳は細められ、Aを見据える。
「 キュ…、キュウ？ 」
『 ん…チビ？ 』
「 あら、その子もちゃんと無事だったのね。良かったわ。」
小さな声で鳴くチビを、シオンは指先で撫でる。
まだ覚醒まで至らないチビは、もぞもぞと動いてAの
程なくして規則正しい寝息が聞こえてきた。
『 …なぁ、なんでシオンは此処に？ 』
「 あら、私は言ったはずよ？貴方が危険にさらされた時…必ず助けに来る、と。」
これも危険の一つよ、とシオンは綺麗に微笑む。
「 さて、Aも少しは元気になった様だし…そろそろ帰るわね。」
『 ん、ありがとな。』
「 どういたしまして？ 」
また。と一言を残して光の粒子となって消えるシオン。その場には彼女が確かに居たと主張する様に数枚の羽根が舞う。
『 俺も戻るか。』
理由はどうあれ、僅かに軽くなった気持ち。
明日になれば元通りだと自分に言い聞かせてチビを抱え直して扉を開く。
静かな廊下を抜けて、ジェイルが眠っている部屋へと戻る。
────…はずだった。
『 な、んで…お前が…？ 』
何も答えずにこちらを見詰める瞳。
何処から見られていたのだろうか。
Aの中で疑問がぐるぐると渦巻く。
「 ……てめぇが。」
『 ？ 』
「 てめぇが、思い詰めたみてぇな表情で寝てた、から… 」
『 …？ 』
「 ッ…シケたツラしてんじゃねェよ！！ 」
『 は？！ 』
そこに居たのは、同室のジェイルだった。
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花冠(プロフ) - 2017年…四年前の作品で良い物を見つけてしまった…！もっと先に見つけれたら更新されて行く楽しみが味わえたかも…。すごい読みやすいですし、設定が神です！チビちゃんかわいい… (2021年3月18日 13時) (
レス) id: 9f55fa5e42 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - 雛菊さん» 有難うございます、とても嬉しいです…！これかも期待に応えられるように精進させて頂きますね！これからもご愛読、よろしくお願い致します！ (2017年12月1日 18時) (レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - 通知リストにあるかな〜と探すぐらい好きな小説です！とても読みやすくて大好きです！！ (2017年11月30日 18時) (レス) id: b475004931 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - 風音迷夜さん» 沢山のお褒めの言葉…ありがとうございます！好きになって頂けてとても嬉しいです…チビは本当に人気がありますねw (2017年11月25日 16時) (レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
風音迷夜 - ありきたりじゃない世界観に分かりやすい説明、この作品好きになりました！チビちゃんかわいいなもう！僕惚れちゃった←チビドラゴンにww (2017年11月22日 21時) (レス) id: b791237619 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にじ
| 作成日時：2017年9月26日 0時
