その笑顔……2 ページ2
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「ごちそうさん!ハイ、露木ちゃんの笑顔に100円!」
「あ、俺も100円!美味かったぞ〜!」
『お粗末さまでした!お仕事頑張ってください!』
結論から言うと、私の笑顔に対する募金体制が確立されました。……私も何を言っているかわからないんだけど、これでジュースでも買いな!って言う感謝の気持ちらしいです。
あの日、100円をもらった私の元に別の方が次々と訪れては張り合うようにお札を取り出し始めて。流石にお札はもらえないと受け取りを拒否した結果。
その日の内に、ルールを作ってしまったらしく……。
1、渡していいのは100円のみ。
2、渡せるのは一日に一回のみ。
3、お礼の言葉を必ず言うこと。
4、100円は募金箱にいれること。
大まかにはこの四つ。
正直、この強面なお兄さん達がこのルールを守って100円を入れて行く度にちょっと心がぴょんぴょんしてます。
というか、これ下手なバイトより稼げてしまうのでは……と、内心震えているのは私だけの秘密である。
「A」
『あ、望月さん!』
この大勢の人が訪れる食堂の中で、私が唯一名前を覚えている人。他の人達からも、望月さんの名前だけは覚えておけと念押しされたので直ぐに覚えることが出来た。
梵天の幹部である望月莞爾さんは、親戚のおばちゃんがここを切り盛りしている時からずっと利用してくれている常連さんで。
「今日も美味かった。……100円、だったな」
『望月さんまで……ありがとうございます、これからも頑張りますね!』
「あぁ」
口数が少なく、ガッシリとした体格の望月さんに最初こそ震え上がっていた私。
でも、話してみればそんなに怖い所もなくて、むしろパパみが……強くて……、今では大好きです。
「また明日来る」
『はい!お待ちしてます!』
何より!望月さんは最後に必ず!!頭を撫でてくれます!!!ココ大事!!!
緩みそうになる頬をきゅっと引き締めて、使用済みの食器達を持って流し場へと移動させる。
食堂の最後の仕事は、食器洗いと明日の仕込み。特にこの仕込みは前日の夜からやっておかないと明日が回らないのだ。
『うーん……梵天って反社だから人を雇うのも大変なのはわかるんだけど……これ、一人分の仕事量じゃないんだよなぁ』
食器を洗いながら独り言ちる。
料理も洗い物も、嫌いじゃないけれど大変である事に変わりはない。
『でもワガママは言ってられないよね、ボチボチ頑張ろ〜』
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瑠璃(プロフ) - 初めまして。とても楽しく読ませていただきました。できれば続編希望します。 (5月18日 22時) (レス) id: f3335c8e16 (このIDを非表示/違反報告)
アカネ(プロフ) - 終わったんか🥺 (2023年3月20日 22時) (レス) @page42 id: eb117a410a (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - にじさーん!!オプチャのサツキです。大分前にコメしたことがあるんですが・・ホントに更新楽しみにしてます!お時間ある時でいいのでいつまでも待ってます! (2023年2月18日 22時) (レス) @page42 id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
ノア - ほんっとに面白くて最高の作品に出会いました!!続き楽しみです!! (2023年2月16日 23時) (レス) @page42 id: a500e3a75b (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 最高です大好きです文才が天才すぎます、、良ければお時間ある時に更新お願いします、、完結までついていかせてください、、 (2023年2月11日 17時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にじ | 作成日時:2022年7月28日 0時