その笑顔、100円【梵天】

その笑顔……２６ ページ27

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ココちゃんの足取りがしっかりしている事を確認し、部屋から遠ざかる後ろ姿を見送ったのが一時間ほど前。

あんなにもたくさん食べる人がお腹を空かせるのは流石に見逃せず、気が付けば晩ご飯として残しておいたお弁当をココちゃんに渡していました。

とても嬉しそうに笑ってくれたので後悔はしていません。……でもちょっとだけ、自分の晩ご飯をどうしようか頭を悩ませていたりいなかったり。

そこで私は思い出した訳です。今日って休みじゃん？
ココちゃん登場のせいで一仕事終えた後のような達成感を感じてしまっているけれども。今日はもういいかな、って気分になってきた気がするけれども！



『次の休みの予定なんてわからないし、今日は休みを満喫するって決めてたんだから！』



あえて言葉に出して自分に喝を入れ直す。
バッグを持って、部屋を出て。職場を出たら電車に乗って近場のショッピングモールへ。

……部屋を出る時に、つい周囲を確認してしまったのは仕方がないですよね？



目的地へ着いてしまえば自然と気分は上がって、好みの物を見付けては店内を覗くことを繰り返す。

洋服にアクセサリー、コスメや雑貨。
あれもそれもと目移りしては、ポンポンと衝動買い。
言い訳をさせてください……あの、梵天の食堂で働くのお給料が大変良くてですね？それにプラスして久々のショッピングでして……。



『……これはやらかしたのでは？』



気が付けば両手が塞がるほどのショッピングバッグの数々。そこそこ重いし、嵩張るしで歩きづらいです……。

帰りも電車と徒歩の予定だったけれど、タクシーを呼ばないといけない……？次回に活かそうと反省していれば、トントンと後ろから肩を控え目に叩かれた。

え、こんな大変な時に一体誰ですか？知らない人とかだったらキレちゃってもおかしくないですからね？？

どうも、自分で犯した過ちなのに半ギレ中のAさんです。



『……えっ！鶴蝶さん？！』

「やっぱりAか」

『どうしてここに？』

「外回りの帰りだ。……それにしても随分買ったな」



すげぇ目立ってた、なんて笑っている鶴蝶さんですが。
当然のように私の手からショッピングバッグを抜き取っていくし、「乗ってくだろ？」と当たり前のように車へエスコートしてくるワケですよ。



『100点満点中の100点……』



ポツリと独り言を零したのなら、何言ってんだ、と軽く頭を小突かれた。痛くないです、鶴蝶さん……。

コレが、スパダリ……？



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