その笑顔……1 ページ1
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「露木ちゃーん、今日の日替わりなにー?」
『あ、お仕事お疲れ様です!今日は、ハンバーグです!』
「肉じゃん!俺、それね!」
ひらひらと手を振りながら軽い調子で話し掛けてくるのは、この食堂の常連さん。
まあ、その……イカつめのスーツ着てるけど!なんなら顔に傷とかあってめっちゃ怖いけど!
いや、話してみれば普通に良い人だしこんな感じでゆるーい性格だから問題はないんだけど……。
「今日の日替わりなんだって?」
「ハンバーグ!」
「肉!露木ちゃん、俺もソレな!」
丁度お昼を回った時間帯、食堂の利用率がピークに達するのだけど。ウン、集まってくるのは男の人ばかりだし、なんなら全員チョット人相が悪い……いや、イカつい、いや、怖い……どれでも変わらないですね、ハイ。
それでも何とかやっていけているのは、私の前任をしていた親戚のおばちゃんが築いた人間関係と信頼の賜物だろう。
できれば私にここを任せないで欲しかったけど!
ここで働き始めて1ヶ月。おばちゃんは既に退職していて、食堂には私一人。時々ヘルプに入ってくれる人はいるけれど基本は私が一人のシフト。
ウン、お休みなんてないよね……トホホ。
『やっぱり皆さん、お肉の方が嬉しそうですね!』
「まあなぁ、なんてーかこう……食った気がするんだよな!」
やっと皆さんの強面にも慣れてきて、普通に会話が出来る所まで成長した私。頑張った、頑張ったよ私!
朝から大量の仕込みとハンバーグのタネ作りを行っていたため、仕上げと盛り付けをすれば私の仕事は終了。
ここの人達ね、すごく良い人達ばかりでしっかりと並んでくれるし食べた後の食器も持ってきてくれるしお礼も言ってくれるしで本当にありがたいの……。
皆さんのこの人柄があったからこそ、私も1ヶ月で慣れることが出来たと言っても過言ではない。
「露木ちゃーん、いつも美味いメシありがとね!」
『と、とんでもないです!こちらこそ、いつも残さず食べてもらってありがとうございます!』
「いやー、露木ちゃんのスマイルいいよね……」
「娘みたいな歳だから尚更だな……」
しみじみと頷くその姿が本当に父親みたいで、なんだか可笑しく感じられた。
『ふふ、ありがとうございます!』
「……あッ!閃いた!」
パチン!と指を鳴らしたその人は
「ハイ!露木ちゃんの笑顔に100円!」
この出来事が、全ての始まりだった。
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瑠璃(プロフ) - 初めまして。とても楽しく読ませていただきました。できれば続編希望します。 (5月18日 22時) (レス) id: f3335c8e16 (このIDを非表示/違反報告)
アカネ(プロフ) - 終わったんか🥺 (2023年3月20日 22時) (レス) @page42 id: eb117a410a (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - にじさーん!!オプチャのサツキです。大分前にコメしたことがあるんですが・・ホントに更新楽しみにしてます!お時間ある時でいいのでいつまでも待ってます! (2023年2月18日 22時) (レス) @page42 id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
ノア - ほんっとに面白くて最高の作品に出会いました!!続き楽しみです!! (2023年2月16日 23時) (レス) @page42 id: a500e3a75b (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 最高です大好きです文才が天才すぎます、、良ければお時間ある時に更新お願いします、、完結までついていかせてください、、 (2023年2月11日 17時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にじ | 作成日時:2022年7月28日 0時