同居生活7 ページ7
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夕食を食べ終えて、二人分の食器を洗う。
何時もより時間が掛かるその作業に、心が満たされた気がした。
隣では煉獄さんが洗い終わった食器を拭いてくれている。
『煉獄さん』
「どうした!」
『一緒に暮らすのであれば、私の事は名前で呼んで貰えませんか?』
「うむ、Aさんでいいだろうか!」
『年、同じくらいだと思うので呼び捨てでいいですよ』
「それならば俺の事も名前で呼んで欲しい!」
ひゃああ、良いのだろうか!
名前で呼んで貰えるだけでなく、名前で呼ぶだなんて!
私、今この地球上で一番幸せだって断言出来る。
……未だに目は合わないけど。
と言うか、こっちを見てすらいないな???
『それでは、杏寿郎……さん』
「はは、君も俺の事は呼び捨てしてくれて構わないぞ?」
『ぐぬ……杏寿郎、さん』
「どうした、A?ほら、杏寿郎だ」
『……杏寿郎さんがこっちを向いてくれたら言える気がしますね』
どうしても呼び捨てに出来ない……。
こうなったら最終手段である。杏寿郎さんが私の方を見てくれたら呼ぶ。
と言うか何故、私の方を見ないのかその理由だけでも教えて下さい。
返事がない事を不思議に思い、隣の杏寿郎さんを見上げた。
『え?!杏寿郎さん、真っ赤ですよ?!』
「よもや!見ないでくれ!!」
『いえ、見ますけど!大丈夫ですか?!』
「君は存外、意地が悪いのだな!!」
いや、推しの赤面、照れ顔を見ないという選択肢はないでしょう?
できれば写真を撮らせて欲しい。
消えた本とDVDの代わりに家宝にするから!!
「その、君には申し訳ないのだが……君を見ていると先程の事を思い出してしまう!何より、君の今着ている服も露出が多い気がして正直、恥ずかしい!!」
『……ん?』
「正面から見てしまったら、表情を取り繕える自信がない!まだまだ未熟な身で不甲斐ない!」
『……ふむ、なるほど』
つまり、ずっと目が合わないのはワザと私から視線を外しているからだったと。
そこまではまあ、予想通り。
で、理由はさっきの胸にダイブしちゃった事を思い出す事と私の服装である、と。
は?かわいいが過ぎた。
露出多いって言っても、首周りが少し緩いくらい。
私の中では普通。
『杏寿郎さん』
「どうした!」
『これはここでは普通です。慣れて下さいね?』
「……よもや」
杏寿郎さんの困り顔が可愛過ぎるんですが。
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chiaki0708(プロフ) - ムフフが止まりませんでした (2021年12月6日 14時) (レス) @page49 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!好きな設定だと言って貰えて嬉しいです!雰囲気上手だと言って貰えて嬉しい限りです…更新は遅めですがこれからも頑張りますね! (2021年8月11日 12時) (レス) id: 7dcf5a18d1 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - この設定、素敵です!彼らの醸し出す雰囲気上手ですね。このお話に出会えて良かった! (2021年6月27日 21時) (レス) id: ca18a121f6 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - もしゃこうさん» 最高だなんて嬉しいです!私も書いていて楽しいので更新頑張ります!!ふふふ、ニヤニヤして貰えたのなら作者冥利に尽きますね!! (2021年2月9日 0時) (レス) id: 7fde5a79e3 (このIDを非表示/違反報告)
もしゃこう(プロフ) - めっちゃこのお話最高です!続きが気になります!そして自分はこれを読みながら1人部屋でニヤニヤしてますw (2021年2月8日 15時) (レス) id: eecce6b130 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にじ | 作成日時:2021年1月18日 21時