同居生活5 - 煉獄杏寿郎 - ページ5
.
俺は上弦の参である鬼、猗窩座との戦闘で死んだ。
これは覆る事のない事実であった。
確かにこの腹に、彼奴の腕が貫通していた。
竈門少年達に未来を託したのだ。
なのに、どういう事なのか。
突如襲った浮遊感。
気が付いた時には、湯の中に落ちていた。
……それも年頃の女性が入っている湯に、だ。
僅かに動揺してしまった為に、更なる醜態を重ねてしまう。
ぱふ、と顔を包む柔らかな感触とふわりと鼻腔を刺激した彼女の甘い香り。
正直、理解が追いつかなかった。
自分の状態を理解しようとすればする程、焦り肺を満たしていく香りが、脳を支配するようで。
彼女から声を掛けて貰わなければ、俺は何時までもあのままだったかもしれない……。
穴があったら入りたい、とこれ程強く感じた事はこれまであっただろうか。
濡れてしまった隊服の代わりに彼女が用意してくれたのは、恐らく洋服と呼ばれる物。
珍しく思いながらも何とか着付け終わる。
これで落ち着いて彼女と話ができるだろう。
うむ、大丈夫だ。落ち着け杏寿郎!
先程のことを思い出すのは彼女に失礼だ!!
彼女の元へと向かい、話をする。
しかしどうしたものか!
目を合わせることすら恥ずかしい!!
彼女の名前は結野Aさんというらしい。
とても可愛らしい!
「今の年号は大正で合っているだろうか」
『令和ですね。大正というと百年ほど前だったと思います……』
よもや……にわかには信じ難いが彼女の言う通りだとすればここは未来であると?
考えを纏めていれば、結野さんから夕食の誘いを受けた。
うむ、正直な所……腹は空いている。すごく。
結野さんは、サツマイモは好きかと俺の事を気に掛けてくれる。
サツマイモの味噌汁が良いと伝えれば、どうやら作ってくれるらしい。
得体の知れない俺にここまで良くしてくれるとは……。
「ただ待っているだけでは申し訳ない!何か手伝える事はないだろうか!」
大きな瞳を、ぱちりと瞬かせた結野さんは少し考える素振りを見せた後、手招きをする。
『それなら、私が料理する所を見ていて貰えますか?煉獄さんが知っている物と違うかもしれないので』
「うむ、了解した!」
彼女の後ろから、料理をする姿を見詰める。
やはり知らない絡繰りばかりだな!
……それにしても。
彼女、結野さんのあの姿はどうにかならないだろうか。
肌が見え過ぎているのではないだろうか!!
.
522人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
chiaki0708(プロフ) - ムフフが止まりませんでした (2021年12月6日 14時) (レス) @page49 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!好きな設定だと言って貰えて嬉しいです!雰囲気上手だと言って貰えて嬉しい限りです…更新は遅めですがこれからも頑張りますね! (2021年8月11日 12時) (レス) id: 7dcf5a18d1 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - この設定、素敵です!彼らの醸し出す雰囲気上手ですね。このお話に出会えて良かった! (2021年6月27日 21時) (レス) id: ca18a121f6 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - もしゃこうさん» 最高だなんて嬉しいです!私も書いていて楽しいので更新頑張ります!!ふふふ、ニヤニヤして貰えたのなら作者冥利に尽きますね!! (2021年2月9日 0時) (レス) id: 7fde5a79e3 (このIDを非表示/違反報告)
もしゃこう(プロフ) - めっちゃこのお話最高です!続きが気になります!そして自分はこれを読みながら1人部屋でニヤニヤしてますw (2021年2月8日 15時) (レス) id: eecce6b130 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:にじ | 作成日時:2021年1月18日 21時