同居生活。【鬼滅の刃】

同居生活３５ ページ35

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職員室へ辿り着くのがこんなに大変だったとは……。
顔も名前も知らない人達からの挨拶に答えていたら、前に進めないというか次から次へとというか。

朝から疲れてしまったと、一息付いた所で目的地が見えた。
職員室に行くだけで達成感を感じるとか普通ある？



『失礼します』

「お、結野。もういいのか？」

『はい。ご心配をお掛けしました』

「いや、思ったより元気そうで安心したよ」



職員室の入口に一番近い席。
そこに座っているのは、北本先生だ。教師の中では若手で格好良い先生だと一部の女子学生から人気がある。

けれど、私はこの先生が苦手だった。



「まあ、何かあったら俺を頼れよ」

『ありがとうございます』



ぽん、と肩に触れる手。
じっと注がれる視線は、全身を滑るようで正直気持ち悪い。
あー……これだからイイ女は大変なんだよね！！



『それでは早速ですが、相談してもいいですか？』

「おう、構わないぞ！」

『私、大学辞めたいので退学手続きをお願いします』

「……は？」

『今年中に引っ越しも済ませてしまいたいので出来るだけ早くお願いしたいのですが』

「いや、本気か？」

『冗談でこんな事は言いません』



……そろそろ肩から手を離してくれないだろうか。
取り敢えず用件は伝えたから、講義に遅れないように戻ろうかな。他に話す事もないし。

態とらしくならないように気を付けながら、距離を取って。



『よろしくお願いします』

「……わかった」



よし！今日のミッション達成！
もう帰っても良いんじゃないかな？！

……あ、ダメですか。

一先ず一限目の講義がある教室を目指し長い廊下を歩く。
凄く視線を感じるけれど、最初より気にならなくなっていて慣れって怖い。



「あれ、結野さん？」

『？……えっと、白崎くんだっけ？』

「そうそう、覚えててくれて嬉しいなぁ」



あ、合ってた、良かった。
確か、女の子達がこの大学で一番格好良いと噂をしていた……ような。合ってるはず、たぶん。

爽やかな好青年、という表現がピッタリ当てはまるような人なのだけど。杏寿郎さんとか実弥さんとか義勇を見た後だと普通……？

推しフィルター凄いな。



「見て見て！あそこ！白崎先輩と結野先輩すごくお似合いじゃない？！」

「ほんと、完璧な美男美女！」

「あの二人って付き合ってないのかな？！」

『……』



聞こえてます。丸聞こえ。いや、え？気まずくない？
白崎くんも何故私に話し掛けた？




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