同居生活33 ページ33
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pipipipi……
と何時もより控え目に鳴るアラームで意識が浮上する。
ぽやぽやとした意識の中、アラームの音源を探して手を伸ばす。否、伸ばそうとした。
『んむ?』
「起きたかァ?」
『……さねみ、さん?』
「まだ寝惚けてんなァ」
ひそひそと吹き込まれる実弥さんの声音が心地好くて再び夢の中へと意識が逆戻りしてしまいそうだ。
ぱちぱちと何度か瞬きを繰り返しながら、実弥さんを見上げる。
「これ、どうやって止めんだァ?」
『画面の、赤いボタン……』
「起きんだろォ?」
『ん、起きる……』
すり、と頬を撫でられ。
ちゅ、と瞼と額に柔らかい感覚……柔らかい?!
ぱちりと目が覚めて、実弥さんを見上げた。
そして鼻先が触れてしまいそうな距離で視線が絡む。
『か、顔がいい……?』
「ふは、なんだそりゃ」
『ひえ、おはようございます……』
「おー、おはよォ。目ェ覚めたみたいだな」
改めて私がどういう状況なのかを整理すると、実弥さんから腕枕されてました。
しかも、足もガッチリホールドしてました、私が。
と言うか!朝からこんな甘く起されるのは心臓に悪いのですが!!
前言ってた事と矛盾してる?ちょっと記憶にないですね。
まだ眠っている杏寿郎さんと義勇を起こさないように出来るだけ音を立てずに支度をする。
朝食は実弥さんが作ってくれると言うので、その言葉に甘えて洗面所へ向かう。
顔を洗い、まだ少しぼんやりしていた意識を叩き起す。
そして、外行き用の化粧をぽんぽんと顔に乗せていく。
化粧水、乳液、下地、ファンデーション。
パフパフとパウダーを乗せて。
眉毛、シャドウ、ライナー、マスカラ、チーク。
リップは朝食を食べた後、出掛ける前でいいかな。
寝癖がない事も確認して、と。
「A、朝食出来てんぞォ」
『今行きます!』
櫛で髪を梳かして、リビングへと戻る。
テーブルには白米と味噌汁、玉子焼きが並ぶ。
朝からご飯が準備されているなんて幸せ……。
手を合わせて食べ始めると同時に、ずしりと肩に重さを感じた。
『義勇、まだ寝てていいよ?』
「……みおくる」
『ふふ、まだ行かないよ』
ぎゅう、と後ろから抱き着いたまま再び寝息を零す義勇の髪を撫でてから食事を再開する。
一連のやり取りを見ていた実弥さんは溜め息を零して、呆れていた。
「おはよう……」
「煉獄もかよォ」
ふらふらと歩いて来た杏寿郎さん。
残念ながら目は開いていない模様。
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chiaki0708(プロフ) - ムフフが止まりませんでした (2021年12月6日 14時) (レス) @page49 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!好きな設定だと言って貰えて嬉しいです!雰囲気上手だと言って貰えて嬉しい限りです…更新は遅めですがこれからも頑張りますね! (2021年8月11日 12時) (レス) id: 7dcf5a18d1 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - この設定、素敵です!彼らの醸し出す雰囲気上手ですね。このお話に出会えて良かった! (2021年6月27日 21時) (レス) id: ca18a121f6 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - もしゃこうさん» 最高だなんて嬉しいです!私も書いていて楽しいので更新頑張ります!!ふふふ、ニヤニヤして貰えたのなら作者冥利に尽きますね!! (2021年2月9日 0時) (レス) id: 7fde5a79e3 (このIDを非表示/違反報告)
もしゃこう(プロフ) - めっちゃこのお話最高です!続きが気になります!そして自分はこれを読みながら1人部屋でニヤニヤしてますw (2021年2月8日 15時) (レス) id: eecce6b130 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にじ | 作成日時:2021年1月18日 21時