episode.2 ページ2
.
目の前が真っ青な海。
視界一面を埋め尽くす水面は陽の光を浴びきらきらと輝く。
が、今のAはそれを見て感動する事も出来ない。
何故なら。
『 な、なんで落ちてるのおおおおお！！ 』
いやいや、トリップ先くらい地面にして。
私は先程会った神様を軽く恨んだ。
命綱ありのバンジージャンプでさえ怖いのに。
どうして空から真っ逆さまに落ちなければならないんでしょうか！
『 お、おお、落ち着け私！大丈夫、神様はチート設定を付けてくれたんだから！！ 』
それでもぐんぐんと近付く海面と、落ちる事のないスピード。
平和な日本で育った私としてはやはり平静を保つのは難しかったらしい。
『 む、無理無理無理無理！！死ぬ！！ 』
もう気を失いたい、なんて思ったのは初めてだ。
強く打ち付ける風に肌はびりびりと痛むし、吹き上げる強風に乾燥した瞳にはじんわりと涙が浮かぶ。
大分、海に近付いて来た頃。
水面に浮く船を捉える事が出来た。
『 っ、た、助けてええええ！！ 』
その船は近付くにつれてその全貌を現す。
これは、軍艦だ。
海軍の軍艦。この際、誰が乗っているかなど気にしていられない。そう、背に腹は変えられないし、まだ死にたくない。
『 だれ、誰でも良いからああああ！！ 』
軍艦の甲板に人影を捉える。
その人影はちょうど自分の真下に位置していて、もうこれは抱き留めてもらう他、生き延びる術はない。
それが誰なのか、確認した私は大声でその人に助けを求めた。
『 さ、さぁぁかぁぁずぅぅきぃぃいさあああ！！ 』
せめてクザンさんとかボルサリーノさんならまだ希望があったかもしれない。
しかし現実はそう優しくはなくて。
自分を受け留めてくれるかどうか、いや、見捨てられる確率の方が非常に高いサカズキさんがそこには居た。
となれば、私は彼に自分の生命を託すしかない。
残り数十ｍ。
私はサカズキさんに全てを託し、全身を襲う衝撃に備えて堅く瞳を閉じた。
──── … が、いつまで経っても痛みは襲って来ない。代わりに身体を包んだのは、がっしりとした腕と厚い胸板。
そっと瞳を開けば、目の前には真っ赤な薔薇。
「 ……なんじゃァ、小娘。どこから来よったァ 」
『 …へ、あ、いきてる…？ 』
頭上から降ってきた声はテレビ越しに聞いていた声。
自分を抱き留めてくれた人物を見上げ、助かったと安堵したと同時にサカズキさんの問いに答えるより先に再び意識が途切れた。
.
episode.3 - Side Sakazuki -→←episode.1
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1248人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にじ(プロフ) - †NANA†さん» NANAさん、ご指摘ありがとうございます。紛らわしくて申し訳ないのですが、そちらはわざとそうしています…。コメントありがとうございました！ (2018年4月18日 22時) (
レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - ひな。さん» ひな。さん、コメントありがとうございます！生き甲斐だなんて…ありがとうございます笑 これからも更新頑張らせて頂きます！ (2018年4月18日 22時) (レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - えこるさん» えこるさん、コメントありがとうございます！楽しく読んで頂けて嬉しく思います！これからも更新頑張らせて頂きますね！ (2018年4月18日 22時) (レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - ページ5で、「そうか」が「ほうか」になっているところがあります。 (2018年4月18日 7時) (レス) id: 288d462176 (このIDを非表示/違反報告)
ひな。(プロフ) - 続編おめでとうございます！毎日更新されるのを楽しみにしております！これがもはや生き甲斐になってます笑、お忙しいとは思いますが、これからも頑張ってください！ (2018年4月18日 7時) (レス) id: 8e0f19d245 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にじ
| 作成日時：2018年4月7日 20時
