日常小話【 其の肆 】 ページ26
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いくら記憶を辿ってもしゅーまなんて言う友達はいない。
Aの沈黙によりその場には何とも言えない沈黙が訪れた。
『 悪い、しゅーまって知らない…。』
「 今日の朝、俺に抱き着きながら呼んでた名前だぞ。」
『 朝?抱き着い……ッッ! 』
それを聞いたAは、何かを思い出した様に顔を逸らした。
『 ま、マジか…はっず…。』
自分でも分かるくらいに顔に熱が集まっている。
きっと、ゆでダコ並に真っ赤だ。
『 うーあ"ー…もう大丈夫だと思ってた……! 』
「 シューマって誰なんだ? 」
1人、羞恥心と戦い悶えるAに声を掛けたのはキース。
顔を隠した指の間からちらりと視線を向ければ、全員がこちらを見ていて、尚更言い出せない。
「 まさかとは思うけど、A君の好きな人…なんて言わないよね? 」
「 そうなれば、この学園の生徒ではないという事になるが…。」
「 俺達が知らない相手とか、許さないよ? 」
『 す、好きな人じゃないですけど!てか、クライン怖いわ! 』
ユーリ、ジル、クラインと畳み掛けるように投げ掛けられる言葉。
これは、説明をしないと収拾がつかなくなるパターンだ。
『 はぁ…しゅーまじゃないんですよ。』
「 シューマじゃない? 」
『 うん、それ俺が寝惚けてたんだろ…? 』
「 まぁ、そうだな。」
ジェイルに確認してみれば、やはり寝惚けていたと言う。
そうであればAは心当たりがありまくりだ。
『 しゅーまじゃなくて、シューマイ。』
「 シューマイ? 」
『 俺が昔飼ってたペットの名前…。』
「 はぁ? 」
『 朝になると毎回、俺のベッドに潜り込んで来て、俺の事を起こしてくれてたんだよ…。』
そう、前の世界でAは犬を飼っていた。
その犬の名前がシューマイ。
毎日の様に起こしに来るシューマイを抱きかかえて二度寝するのがAの日課だったのだ。
つまり、その時の癖が出てしまった。
これは高校生男子としては恥ずかしいエピソードである。
「 ぺ、ペット…。」
『 …ごめん。』
全員に盛大な勘違いをさせていたらしいAは、心底申し訳なさそうに謝罪の言葉を述べる。
流石に、寝惚けて漏らした言葉がこんなに深刻そうな事態を生んでいるとは思わなかった。
いや、誰も思わないだろう。
無事に誤解が解けたので、取り敢えず一安心である。
【 リクエスト:寝惚けた彼 】
『 寝言すら
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あこ - はいまた俺です()あぁぁまた続編ッッッ!!!!クッソ、興奮すr((((((黙れ 次も楽しみにしてます!御仕事無理せず、体調に気を付けて下さい!!更新はゆっくりでも待ってます!!楽しみのひとつとなっております!!えと、頑張って下さい!!() (2018年4月2日 18時) (レス) id: eb4bfbc582 (このIDを非表示/違反報告)
アカネ(プロフ) - 流石イリスだ。わいの推し。 (2018年3月1日 4時) (レス) id: e853e23932 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - ねむるさん» 他作品も読んで頂けるなんて…とても嬉しいです!ニヤニヤして貰える作品になっている様で嬉しく思います!2回も掛かったんですね…辛いです…。嬉しい告白を有難うございます…これからも頑張りますね!笑 (2018年2月25日 13時) (レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - あこさん» 好きだと言って頂けるのはとても嬉しいです、有難うございます!これからも頑張らせて頂きますね! (2018年2月25日 13時) (レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
にじ(プロフ) - ーさん» 簡単な設定しか考えていませんが、次の続編で設定を入れさせて頂きますね。 (2018年2月25日 13時) (レス) id: 14a110e835 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にじ | 作成日時:2017年11月26日 14時