酒井くんには彼女がいるようで【新・信長公記】

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碓井Side





魔村「なお、時間内にホールに入れない者は逃亡とみなし、全員負けとします。」





魔村「それでは旗印戦、開始」





音楽ホールに着くと、本多くんと龍造寺くんが必死にドアを引っ張る姿があった





裏切り者が中から鍵をかけたのだろう、そしてその裏切り者は多分…





私は2人に気づかれないようにそっと階段近くのドアの影に隠れ、井伊くんに電話をかけた





プルルルル、プルルルル、プルルルル…





コール音が続き、出る気配がない





私は諦めて電話を切り、廊下の様子を伺った





勝ち役の3人がホール前に到着し、開かないドアと闘っている





酒井「おい井伊！」





榊原「開けろよ！」





勿論返事はなく、だんだん2人にも疲労が見え始めた





今手伝っても多分無駄だ、ここにいるより他の裏切り者を探した方がもしかしたら、





本多「全員退けー！」





本多くんの叫ぶ声が聞こえ、その様子に私は驚きを隠せなかった





ドアからじりじりと距離をとりはじめたのだ





本多「井伊、テメェを信じて、俺は、酒井は、榊原は…！」





みやび「一体何を」





榊原「タックルだ。」





みやび「アナログとな⁉」





その光景に私は頭を抱えたが、本多くんがドアにぶつかる直前にドアが開いたことで再び驚くことになる





自分で扉を締めたはずの井伊くんが、自らドアを開けたのだ





本多くんが後ろに転がったのは見なかったことにしておこう





伊達「井伊、自分が何してんのか分かってんのか。」





井伊「みんな、すまん！俺は、裏切り者の1人だ。」





井伊くんは膝をついて土下座したが、相当お怒りの様子の伊達くんに肩を掴まれて強制的に立たされる





また一発入れるのかと思っていると、織田くんが音楽ホールからゆっくり出てきた





織田「やめろ貴様。井伊の話を、聞いてやってくれ。」





その後聞いた話は、私が思っていた通りの内容だった





酒井、榊原くん、本多くんの3人が負け役になって負ければ、ポイントと共に旗印戦の参加資格を失う





銀杏高校が徳川の手に落ちた場合、旗印戦と関係がなくなった3人が徳川に狙われることはなくなる





つまり、井伊くんは3人を危険な目に合わせないために裏切り者となった





そこまでは私の読み通りだった





井伊「お前ら3人が狙われたら、碓井が何するか分かんねえし。」





私の事も考えられていたことを知り、すこしホッとしたのは何故だろうか

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