薙ぐは誰が為＊直虎 ページ2
時雨時の桶狭間
雷鳴が鳴り響く中、
兵士達が生死をかけ
戦いに挑んだ跡があった
軍旗や軍馬も兵士も
折り重なって倒されている
戦場を掠めるのは
一陣の風に乗って漂う血の匂いだった
そこから少し離れた砦では、
大柄な姫武者が雨に打たれながら
泣き崩れていた
彼女の名は�牋羂膨掌廰�
今川家に忠節を果たす
井伊家の跡取りとして育った姫武者である
「…お父さん、何で…
私は、私はどうしたら…」
直虎の父、井伊直盛は
織田軍の将によって討ち取られた
父の存在を頼りにしていただけに
彼女の悲しみは大きかった
顔を両手で覆い、涙を流す直虎の肩に
何者かが強く手を置いた
『直虎、しっかり気を持て…
かようなことでは
そなたのお父上のご無念を
晴らすことなどできようか‼』
「ぁ……A」
顔を上げた直虎の前には
凛々しい顔立ちをした、
直虎より背丈の高い姫武者がいた
彼女は朝比奈泰時の娘である朝比奈A
直虎とは深い絆で結ばれた間柄である
『戦場で皆は何が為に
刀を振るうと思っている
…こんな馬鹿げたものに
何故、命を懸けると思う？』
「そ、そんなの分からないっ‼
何で、何で…
人同士が争って命を落としていくの？
…私には分からないよ…」
感情的になり大声を上げた後、
涙をポロポロ流して
しゃくりあげる直虎の頬を両手で包み
Aは言葉を続ける
『そうだな…
私は誰が為に
この薙刀を薙ぐかと問われたら
そなたの為だと答えるだろう
…直虎、そなたの為に』
「私の、為に？」
『あぁ、間違いなくそう答える』
そう言うとAは
己が手にある薙刀を見つめた
『この薙刀は遥か昔から
そなたを守るために使うと決めてあるのだ
…きっと、そなたの父の直盛殿も
井伊家とそなたを守ると決めて
この戦に挑み、果敢に戦って
誇りをもって最期を迎えられた』
「A…」
『だからこそ生きて、
井伊のお家を守り抜くのだ。
それが直盛殿への慰みとなろう
直虎、案ずるな…
私がずっと傍でそなたを支える』
「うん、井伊家家訓‼
跡取りたるもの常に凛とせよ‼
私、もうくよくよしない
…どんなことにも負けない！」
言い放つ直虎はいつになく凛としており
瞳には光が満ち溢れていた
横にいるAは清々しい表情で笑った
その時、時雨が止み
雲の隙間から光が辺りに差し込んだ
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麗扇姫(聖ヶ丘哀)(プロフ) - 桜 水樹さん» サクラ、ありがとう!(^^)!今は名前を変えてるけどこれからも�爛皀皚瓩辰童討鵑尿�更新頑張るね！ (2018年1月4日 9時) (
レス) id: 2f2ea1e042 (このIDを非表示/違反報告)
桜 水樹 - モモ!久しぶり!私の事覚えてる?甲斐姫のも好きだけど直虎ちゃんの話もなんか好き!更新頑張ってね! (2018年1月4日 3時) (レス) id: e303688e35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：モモ | 作成日時：2017年1月17日 13時
