赤い生徒手帳【コラボ】 (ページ22)

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結論から言うと、その後坂田君は普段のたこ焼き同様になんちゃってたこ焼きを焼き上げた。
同じく関西出身というセンラ先輩も、焼くのに成功していたから
当日はこの2人が焼き上げて、うらた先輩と志麻先輩が接客に回るらしい。

……うん、適材適所だと思う。
でも確か、出会いが！って言ってたのはセンラ先輩って聞いてたけど…
まぁ、そこらへんはうまくやるのだろう。

そんなこんなで、あっという間に前日になった。
私は先ほどまでなんでか果物や野菜のカットの手伝いをしていて……
今は、坂田君と一緒に帰っているところだ。

　
「ごめんなぁ、手伝ってくれて助かったわ。」

「ううん、どうせ坂田君待ってたし…それにしてもすごい量だったね。」

「ホンマな。後半のセンラの無言具合が怖かったわ。」

目指せ、コンテスト優勝！で盛り上がってしまったらしい4人は
大量の食材を用意してしまったみたい、それぞれ500食分ほど。
ただ、その分を用意するのが大変と思ったらしく色々考えたみたいで

うらた先輩が整理券配布して、時間ごとに売り上げることを提案して
そのチケットを坂田君と一緒に作っている傍らで
志麻先輩とセンラ先輩は無心になって食材を用意していた。

最初はチケットを手伝っていた私も、そっちが終わるとカットの手伝いをして
坂田君達がタネを用意して…何とか終わった今は、21時を回ったところだ。

「そういえば、コンテストの優勝って何かもらえるの？」

「えっと…賞金がもらえたはず！」

「そりゃ皆本気になるよねぇ…」

そう考えると、女子ウケをあの4人がテーマにしたのは間違ってないのだろう。
彼女としては……ちょっと複雑な気持ちなんだけどね。
なんて考えていると、不意に坂田君の足が止まった。

「ん？どうしたの坂田君。」

「いや、その…な。皆が、ちゃんと言った方がえぇよって…」

「何を？」

「俺、明日の学園祭。接客一切せんから、安心して。って…確かに、そうやんな。」

「え…？」

繋がれた手に、少しだけ力が籠められる。
目の前の坂田君は、いつもやらかしたときにするように
眉を八の字にして…しょんぼりしたような、そんな表情を浮かべていた。

「一応俺らにも空き時間あるし、そん時は俺と回ろ？」

「うん…？」

「女子ウケって言うても、俺彼女いるからって元々調理に専念するつもりやったんよ。」

「そう、なんだ。…嬉しい。」

　
こう、ちゃんと考えてくれていたということに心が温かくなったから
複雑な気持ちなんてどこかに行ってしまった。