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「A、何飲む?コーラ?」
「今日はカルピスにするー」
「おっけー」
熟れた手つきでウェルカムドリンクを注文する彼をソファーに座りながら見つめる私。
その視線に気付いたのか、将又、たまたま良きタイミングで注文が完了したのかわからないけれど、ピッタリ隣に腰を下ろしてくれた彼の腕はいつの間にか私の腰に回っていた。
「寒くない?」
「先生が近くに居るから寒くないよ」
「まーたそんな可愛ええ事言って、」
「だって本当だもんっ」
勢い良くギューッと抱き着くと抱き締め返してくれて。
彼の匂いで鼻腔がいっぱいになってとっても幸せ。
「先生、大好き」
「おん、俺も。大好きやで」
思わず溢れでた愛を囁き合って、そのまま流れるかの様に唇を重ねると2つの身体の密度は更に高まる。
「…せんせ、今日は何時まで?」
「俺は何時でもええけど、Aが22時までやろ?」
「でもバイトとか塾の時は22時超えるもん」
「それでも門限は22時半やろ?
だからここも22時には出るで」
「もっと…先生と居たいのに、」
「また明日も会えるやん、学校で」
「2人っきりの時間がいいの」
「わかってる。ほな、明日は補講しよか?
2人だけでする、居残り勉強っ」
「場所は…?」
「俺の教材しか置いてない資料室、とかどう?
それか、明日保健の先生午後から会合あって半休で上がるみたいやから保健室も空いてるけど?」
「え、それって…っ」
「何嬉しそうな顔してるん?
Aヤラシイ事考えてるやろ〜?」
フフフッと笑いながら私を揶揄う彼に、
「…っ、」
「まぁでも、せやな。そういう事もあるかも知らんから…とりあえず今日は22時には一緒にここ出よな?」
「…はーいっ」
まんまと上手く乗せられた気もしなくないけど。
でも明日は学校でっ…2人の時間作れるならそれでいいや。
「そろそろドリンク届くやろし、A先シャワー浴びてきぃ?」
「うん、、
先生も後から入ってきてくれる…?」
「俺はAの後でええよ。
ゆっくり入っておいで」
暗に一緒にお風呂に入ろう。と誘ったのにまんまと躱されてしまい、結局独りでバスルームに向かう私は心の中で思う。
( やっぱり年の功には勝てないんだ、と。 )
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