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「 どうしよう、坂田くんの誕生日、絶対プレゼント渡す人多いもん被っちゃう 」
「 何貰っても喜びそうだけど 」
十二月五日、坂田くんの誕生日。
体育祭を皮切りに沢山増えた坂田くんのファンは絶対に朝イチに渡そうとしてくるし、渡す人が沢山いれば被ってしまうこともあるし。
昨年は私だけがプレゼントを渡して、一緒に過ごしていたのに人気者になってしまった坂田くんはきっと大忙しだろう。明日一緒に帰ろう、とか約束してるわけじゃないからご飯食べに行こうとクラスの人達に誘われてしまったら二つ返事で行ってしまうかもしれない。
何にするか迷った挙句、どうすればいいか分からないからと友人に来てもらったわけだけど結局決まらずその日はお開きになって、数日後定番だけどネックレスを用意。
朝は坂田くんが寝坊するからと一緒には行っていなくて、坂田くんが登校してくる時間帯に会いに行くもクラスの真ん中にいたり、誰かに呼び出されていたりとタイミングを逃し結局お昼休みに。
何度目かの坂田くんの教室に行けばクラスの人から「さっき空き教室に呼び出されてたよ」なんて言われて、行くのやめようとは思ったけど気になってしまって。私と坂田くんがいつも使っている空き教室に来てしまった。
「 坂田先輩、お誕生日おめでとうございます、実は前からずっと好きだったんです。これ、受け取ってくれませんか?絶対、今の彼女さんよりいい彼女さんになります 」
聞こえてきたのはそんな言葉で、目の前で告白していたのは春からずっと気になっていた一年生の子で。
耳を塞ぎたくなる。プレゼントも受け取らないでほしいし、いっその事女の子のことを思い切り振ってほしいなんて思ってしまってそんな自分も嫌になる。
やっぱり教室に戻ろうと思った時、坂田くんの声が聞こえて。足を止めてしまった。
「 ごめん、おれ誰からもプレゼント受け取ってないねん。しかもあんまAちゃんのこと知らんのにそういうふうに言うのやめてくれへん?そういうの、俺嫌いやわ 」
まさか坂田くんから低いトーンでそんなどストレートな言葉が出てくるだなんて思わなくて、息を飲んでしまう。そんな坂田くんの言葉に女の子は泣きながら教室を出ていき、そのままいなくなってしまった。
私が動けないままでいるとドアを開けられて苦笑いをしている坂田くんと目が合って。
「 見ちゃった……? 」
「 ……クラスの子から、ここにいるって聞いて 」
「 そっか……とりあえず、中入る? 」
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