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放課後 ─。
彼と約束した ” いつもの場所 ” の近くのファーストフード店で予定時刻まで独りで時間潰し。
ジュース飲みながら、スマホと睨めっこ。
[ もう近くで待ってるよ ]
[ 先生はまだ仕事中かな? ]
[ 早く会いたい ]
私からの一方的な連投LINEに付くのは既読の表示だけ。
「はぁ…まだかなぁ」
小さく吐いた独り言。
その瞬間、タイミング良く光った画面。
[ 今、職員会議終わった。急ぐわ ]
─ 急ぐわ。
きっと彼からしたら何気無いその一言でさえも嬉しくなっちゃう私はまだまだお子ちゃま、で。
まだ残ってるジュースを忙しなく飲み干そうと必死な自分がこれまた滑稽。
…どうせ、早く行っても彼は時間通りにしか来ないのに。
なんて、頭ではわかっていても行動が伴わないのが正に お子ちゃま。
「…よし、」
スクールバッグから手鏡を取り出して、化粧が崩れてないかを確認してから最後に色付きリップを塗って、私は軽快な足取りで店を出た。
少し歩くとすぐ待ち合わせ場所に着いたのでスマホを見ると時刻は18:23。
ちょっと早かったかなぁ。と思いながらも周りをキョロキョロしていると、小走りで此方に向かってくる 人影 … それは見紛う事ない私の大好きな彼の姿で。
本当に急いできてくれたんだ。と嬉しくなってしまう。
「お待たせ〜。待った?」
「ううん。本当に今来たところ」
「そっか。それなら良かったわ。
最近暗くなるの早いからあんまり独りで待たしてたら危ないなぁと思って」
「心配してくれてたの?先生優しいっ、」
「当たり前やん。…ほな、寒いしはよ行こ」
そう言いながらナチュラルに繋がれた手。
彼の手は走ってきた所為か、温くて…冷えていた私の手を暖めてくれた。
「ほんまに来たのさっき?
めっちゃ手冷たいけど」
「ちょっと冷え性なだけ、だよ」
「あー、そういえばそんなん言うてたなぁ」
「ふふ…先生それ本当に覚えてたー?」
「覚えてたよ!Aの事は全部覚えてるし〜」
「じゃあ、例えば?」
「Aは俺の事が大好き」
「それはズルいよ〜」
静かに、だけどキャッキャと会話しながら歩いて行き着いた先は…
かなり奥まった分かりずらい処にある、ホテル。
ここが、私と先生の2人だけの秘密の場所。
「いつもの部屋でいい?」
「うん。いいよー」
「ほな、行こか〜」
” いつもの部屋 ” の数字が書かれたボタンを押すとさっきまで光っていたパネルの1部が消え、それを見届けた後私達は奥へ足を進めた。
( 禁断の境地へ。 )
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