九曲目 ページ9
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晃一「…！
おいA？なんやそんな見つめんとってや笑照れるやん笑」
『！！…違っ、見つめてなんかないし』
どうやら私は
発声練習が終わっていたのも気が付かないほど彼に気を取られていたらしい
拓弥「ふーん笑
そんないい？晃一の声」
『べ、別に』
ベースをチューニングしながら
悪戯っぽく笑う瞳を避けるように
背を向け私もギターの準備を始めた
祐基「あの時歌ってたのはfanfareだよね？
晃一、Aちゃんにはこれからどの役割してもらう？」
晃一「あーそれやけど
勿論、ギター」
吉野はギターとキーボードどちらも出来るみたいだけど
私がもともと弾き語りをしていた為か
キーボードにまわってくれるんだなぁ
『分かったじゃあ私が…』
晃一「と、ボーカル」
「「『は？』」」
いやいや、ボーカルは貴方の担当でしょ？！
拓弥「あぁ、2人で歌うの？」
晃一「ちゃうで
Aが1人で歌うんや
俺はキーボードとたまにコーラス〜」
既に半分以上無くなったペットボトルをくるくる回しながら当たり前の様にとんでもないことを言う
祐基さんと拓弥さんは顔を見合わせて嘘だろ？といった表情で…
『いやいやいや、吉野何言ってんの？』
晃一「お前はほんま年下ってこと忘れてるやろ！笑」
この不思議な空気感を創り出す張本人は
あひゃひゃと無邪気に笑う
『はぁ…アンタが歌わないなら私辞める
…一緒に作ろうとか言っといて何よ』
少し声を荒らげてしまい空気がピシッと鳴った
新参者が何やってんだって感じだけど
でも…
私も佑亮も海も
貴方の歌が聴きたいのに
晃一「なんやねん…
じゃあ！一緒に歌おか！！！笑笑」
『はっ？』
何やら呆気ない
あれだけ歌について語ってたくせに
ボーカルをしないという彼の選択はそれ程重要ではないものだったのか？
祐基さんも拓弥さんもなんとも言えない表情をしていたけれど
その後は吉野のハイテンションに巻き込まれ
ワイワイと音楽を楽しんだ
『ははっ…！笑
もーまだ歌うの？笑』
晃一「そんな笑うねんな…
何お前音楽大好きやん？笑」
『…！そ、それは』
貴方達と、奏でるから…
晃一「俺も好き笑」
急に頭に手を置かれて
ニカッと微笑んだ貴方の笑顔は
再び私の心を奪い去った
続く
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作者名：ぽん | 作成日時：2018年1月1日 0時
