冒険の書39 ページ41
Asaid
「…そうだ。
彼女はいつだってああして僕を励ましてくれた。
シセル……君はどうして…」
アスカンタ王は、玉座に座って嘆く。
確かに…大切な人が死んだら、私もこうなってるかもしれない……。
ー……シセル、どうして君はそんなに強いんだい？
ーお母様がいるからよ。
ー母上？だって君の母上はずいぶん前に亡くなった
と…。
ー私も本当は、弱虫で駄目な子だったの。
いつもお母様に励まされてた。
お母様が亡くなって、悲しくて寂しくて……
でも、こう考えたの。
私が弱虫に戻ったら、本当にお母様がいなくなって
しまう。
お母様が最初からいなかったのと
同じになってしまうわ…って。
シセル王妃の言ったことに私も感動してしまった。
感動しちゃうよ、シセル王妃。
その勇気を分けて欲しいくらいですよ…。
ー励まされた言葉、お母様が教えてくれたこと、
その示す通りに頑張ろうって。
…そうすれば、私の中にお母様はいつまでも
生きてるの。ずっと……
「シセル、僕は…僕も君のように……。」
そしてシセル王妃は、テラスへと続く階段を登る。途中で振り返ってアスカンタ王に手を差し伸べた。
こっちに来てと言うように…
ーねぇ、テラスへ出ない？
今日は良い天気ですもの。
きっと風が気持ちいいわ。ね？
差し伸べたシセルの手を取り、アスカンタ王はテラスへと登った。
私達も静かに上へ上がる。
時が経つのも早く、もう朝日が出かけていた。
朝日のお陰でシセル王妃が一層美しく見えるよ…。
ーほら、貴方の国がすっかり見渡せるわ、パヴァン。
アスカンタは美しい国ね。
「ああ…そう…だね……シセル、そうだね」
ー私の王様。みんなが笑って暮らせるように
貴方が……
シセル王妃の言葉が消えかける。
最後の言葉は…何を言ったかは聞き取れなかった。
そして朝日が完全に登って、周りが明るくなったと共に、シセル王妃は消えていった。
「…覚えてるよ。君が教えてくれたこと全て、
僕の胸の中で生きてる。
すまない、シセル。…やっと目が覚めた。
ずっと心配かけてごめん。
…長い長い悪夢から、ようやく目が覚めたんだ」
アスカンタ王はテラスを降りていった。
ありがとう、シセル王妃…。
その言葉に、なんか私も勇気づけられたよ。
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水竜ルカ - メテオさん» 返信遅れました。コメントありがとうございます！頑張ります！！ (2021年4月29日 13時) (
レス) id: 6d7c17fb01 (このIDを非表示/違反報告)
メテオ - 更新頑張ってください！面白いです！！ (2021年4月20日 20時) (レス) id: 2801cd44d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：竜灸 | 作成日時：2021年4月2日 14時
