【最遊記】桃源郷の魔法使い〔壱〕 (ページ50)

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Metamorphose② ページ50

悟浄「ああ。だけど、どーすりゃいいんだよ！？」

八戒「僕だって知りません。三蔵でないと…でも、今の悟空は明らかに正気を失っている…このままじゃ、あまりに強大な己が妖力を抑えきれずに、全てを破壊するまで暴走を続けてしまう…！」

「はぁ…はぁ…っ」

さすがに限界が来たのか、僕に寄りかかってきた

八戒「！A、ほとんど塞げたからもう大丈夫」

「そ、う…？」

手を離し完全にこちらに体重を預け、目を閉じてしまう

悟浄「っおい！」

八戒「気を失っているだけです。まったく無茶を…」

六道「う、ぎゃあああ！」

叫び声の方を見ると、悟空が六道の肩を噛みちぎっていた

すると、六道の数珠が光る

悟空「うあぁぁああ！」

六道「くっ…“消”！」

その光に悟空がやられている間に、六道は札を使って消えた

悟浄「逃げやがった…！？」

六道「逃げはせん！覚えいろ。必ずや戻ってくる。その時は貴様らを、貴様ら妖怪全てをこの呪符の“肥やし”にしてくれるわ…！」

六道…確かにもう一度必ず現れるでしょうね

彼自身があの札の支配から逃れられない限り…

三蔵は傷口だけでも塞ぐことができたし

残る問題は───

悟浄「悟空！おい…大丈夫か？ご((」

次の瞬間、悟空の拳が悟浄の顔を掠った

八戒「駄目です！今の悟空には判別能力がないんです」

悟浄「ったく、トチ狂いやがって…！」

悟空の目が今度はこちらを捉え、ニヤリと笑う

悟浄「どこ見てんだよッ！」

止めようとするが速さに追い付けず、悟空は僕らの方へ飛び掛かってきた

八戒「はあッ！」

防護壁を張るが、ほんの数秒で砕け散ってしまう

八戒「っ…！」

避けられない…！

せめてもとAを包み込むように抱き寄せ、背を向けた

悟空「ぐあっ！」

悟浄「は？」

僕には何の衝撃もなく、後ろを振り向く

何故か悟空は、向かいの建物に吹き飛ばされていた

八戒「一体何が…？」

すると、緩めてしまった腕からAが立ち上がり、雨の中へスタスタと歩いていく

八戒「…え？」

もしかして、さっきのは…

いやまさか…とっくに限界は超えている
そもそも動けるはずがない…

悟浄「何してんだ！危ねェからお前は引っ込、ん…で…」

ダッ

悟空「ッ！？」

凄い速さで突っ込んでくる悟空を、Aは易々と受け流し…手を翳して彼を氷漬けにする

無表情のまま、いとも簡単に悟空の動きを止めてしまった

そんな彼女の瞳は…

八戒「なっ…A…？」

“金色”に輝いていた───