【最遊記】桃源郷の魔法使い〔壱〕 (ページ44)

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Rain① ページ44

雷雲がゴロゴロと鳴り響く

悟浄「…あーあ、ひと雨来るな、こりゃあ」

悟空「宿か何かに着くまで間に合うかな？」

三蔵「賭けるか？無理な方に千円」

悟浄「俺も」

悟空「オレもっ」

八戒「だから…賭けになってませんって…」

ガタンッ

「っ〜〜〜！」

ジープの振動で、頭痛が更に増す

三蔵「大体、Aが“低気圧頭痛”起こしてる時点で9割雨降るんだよ」

「“コレ”を、天気予報に…使わないで…っ」

ガンガンするから心臓の鼓動止まって欲しいって思うくらい、すんごい激痛なんだから…

八戒「やっぱり薬効かない…？」

「全然…」

すると、お兄ちゃんは静かにジープを停めた

八戒「悟浄、宿まで運転代わってもらえます？」

悟浄「あ？あー、りょーかい」

八戒「三蔵、すみませんが後部座席の方に移動お願いします」

三蔵「ったく…」

お兄ちゃんが助手席に座り、私を抱き締めた

再出発すると、頭に手が添えられ少しだけ痛みが和らぐ

八戒「…気休め程度にしかならないと思うけど」

気孔術…？

「いーよ…お兄ちゃんも、疲れちゃう…でしょ…」

八戒「僕は大丈夫だから」

止める気力も無く眠くなってくる

悟空「…なぁ、なんかさっきから変なニオイするんだけど」

三蔵「…そういえば」

悟浄「！？おい、あれ…！」

視線の先には、全身に札が貼られた妖怪の屍がいくつも転がっており、完全に目が覚めてしまった

ザァァー

八戒「…やっぱり、あと一歩間に合いませんでしたね」

濡れてしまったため、宿に到着するとまずお風呂に入った

ゴロゴロ…

悟空「あ、光った光った！わーいっ」

悟浄「近いなこりゃ」

八戒「ほら悟空、ちゃんと乾かさないと駄目ですよ」

悟空の髪をタオルでわしゃわしゃと拭く

悟空「むー」

コンコン

女性「温かいお茶お持ちしましたー」

宿の女性が入って来た

八戒「あ、ども」

女性「コーヒーはお一つで宜しかったですか？」

八戒「えぇ。はい、A。熱いから気を付けてね」

「ん…」

コーヒーは低気圧頭痛に良いらしいから

女性「災難でしたねェ、急に空荒れちゃって。でもしばらく続くみたいですよ、雨」

悟浄「マジかよ…」

「やだ…痛い…」

お兄ちゃんにヨシヨシと頭を撫でられる

三蔵「…ちょっと」

部屋から出ていこうとした女性を呼び止めた

三蔵「ここに来る途中、妖怪の死体と大量に出くわしたんだが？」

女性「ああ、それはきっと六道(りくどう)様だわ」

八戒「六道…？」

悟空「誰ソレ」