【最遊記】桃源郷の魔法使い〔壱〕 (ページ40)

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Charismatic① ページ40

八百鼡「いざ！」

八戒「ちょっと待っ…！」

お兄ちゃんの静止を聞かず槍の棒部分で攻撃し、扉を破り外へ突き出す

八百鼡「フッ！」

再びお兄ちゃんに向けて構えた隙を狙い、背後から槍の先を掴んだ

そのまま電流を流す

八百鼡「きゃあぁ！」

思わず離した武器をそのまま奪い、矛先を向けた

「…もうやめません？」

単純に、綺麗な女性を無闇に倒したくない…という気持ちもあるけど…

今までの刺客と何かが違う気がする

八百鼡「くッ…」

すると、懐から丸い球を数個取り出してこちらに投げた

八戒「！爆薬…！？」

八百鼡「死んで下さい！」

が、お兄ちゃんがすぐ防護壁を作って防ぐ

八戒「もう諦めて下さい…！」

お兄ちゃんも私と同じ気持ちみたい

八百鼡「…こうなったら最後の手段です。本当はあまり被害を広めたくなかったのですが…その酒場に爆薬を仕掛けておきました」

八戒「！」

「…えっ？」

八百鼡「このスイッチひとつで…！」

カチッと押すが、何も起こらない

八百鼡「…あれ？」

「…ねぇ、お兄ちゃん…もしかして、飲み比べ前に見付けた…」

八戒「あー…えーと、コレの事ですか？」

仕掛けた爆薬と思われる物を取り出す

八戒「すいません。さっき見付けて危ないなーって思って引っこ抜いちゃいました。あはは…」

八百鼡「はうあっ」

お兄ちゃんはガクッと膝を付いてしまった八百鼡さんの前に屈んだ

八戒「…あの、すみませんでした。どこか痛くありませんか？」

八百鼡「！…触らないで！」

手を差し出すとバシッと払われる

八百鼡「敗北した上…敵に情けをかけられたなど、私はもう紅孩児様の元へ帰る資格がない…！」

短剣を取り出し、首へ当てがった

サッと顔の血の気が引くお兄ちゃん

八百鼡「もはやこの命など、必要ない…！」

八戒「やめ…！」

お兄ちゃんが声を上げると同時に、私は八百鼡さんの手首を掴んだ

八百鼡「っ！」

八戒「A…！？」

「…ねぇ…それは貴女の意志でしょ？主君は本当にそれを望んでるの？」

八百鼡「え…？」

「あくまで自論だけど…本当に忠誠を誓うなら、自害って選択は絶対にありえないと思う。資格があるとかないとか、必要な命かどうかとか、決めるのは紅孩児なんじゃない？」

八百鼡「！それ、は…」

「…まあ、私は誰かに忠誠を誓った事はないからよく分からないけど。ただ…私が“一番嫌いな死に方”が“自害”ってだけ。その人を想っていれば想っている程、勝手に残された側は辛いから」