【最遊記】桃源郷の魔法使い〔壱〕 (ページ19)

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His god② ページ19

僧正「実は光明三蔵法師も十数年程前、この寺にお立ち寄り下さったのですよ。光明様の端正で荘厳なお姿が今も目に焼き付いております。玄奘様は本当によく似てらっしゃる。
光明三蔵様が亡くなられた後を、愛弟子である貴方様が“玄奘三蔵”として継がれたと聞いておりますが…」

三蔵「───そんなことより、この石林を一日で越えるのは難儀ゆえ、一夜の宿を借りたいのだが」

僧侶「ええ！それはもちろん喜んで！───ただ…」

こちらをチラッと見られる

八戒「何か？」

僧侶「ここは神聖なる寺院内でして、本来ならば部外者をお通しする訳には…」
僧侶「そちらの方々は仏道に帰依する方の様にはとても…」

悟浄「坊主は良くても一般人(バンビー)は入れられねーッてか？高級レストランかよここは！ざっけンなよ！」

八戒「まあまあ」

三蔵「俺は構わんが」

悟空「うわー、言うと思ったー」

随分と信仰心の強い人達みたいで…
いや、警戒心とも言えるかな…？

僧侶「この方々はお弟子さんですか？」

三蔵「いや、下僕だ」

そうきっぱり答えた

僧侶「ああ、やはりそうでしたか」

コロス＃と三蔵に殴りかかりそうな二人を、お兄ちゃんが「どーどー」と抑えている

「…ねぇ、“下僕”ってなに？」

八戒「えーっと、簡単に言うと「召使い・しもべの“男”」だね」

悟浄「ちゃっかりAの事は外してやがる…」

「…じゃあ、三蔵にとっての私って何？」

何故か沈黙が広がった

悟空「…なんだろ？近い意味だと、メイド？家政婦？」

更に沈黙が広がる

僧侶「………え…まさか、女人…！？」

その一人の呟きで、周りがザワザワし始めた

僧侶「今回は三蔵様に免じて、そちらの方々にも最高のおもてなしを御用意いたします。ですが…ご存知のとおり、寺院内は女人禁制でして…さすがにあの子に関しては((」

三蔵「何だ？この物騒なご時世、女一人、外に放り出せってか」

口を噤む僧侶達

…そんなに私、ここに居たら駄目なの？

何だかショックで、周りの視線も痛くなってきて俯くと、頭に大きな手が乗せられた

「…三ぞ((」

三蔵「目の前の命を見捨てるなんざ、仏道も何もあったもんじゃねェな。最悪の場合、“不殺生”に反することにもなる」

僧侶「！それは…」

三蔵「コイツを追い出すってんなら、俺も一緒に追い出されてやるが？」

僧侶達の顔が青ざめる

僧正「失礼致しました。彼女にも同様におもてなしをさせていただきます。…良いな？」

僧侶「は…はい」