【最遊記】桃源郷の魔法使い〔壱〕 (ページ15)

今日:14 hit、昨日:30 hit、合計:15,753 hit

Get square② ページ15

その後、休息の為とりあえずそれぞれの部屋に戻った

八戒「…怪我はない？」

「うん、大丈夫。もう平気！」

八戒「そう…疲れたでしょう？ゆっくりおやすみ」

布団に入れて頭を撫でていると、やがて眠りにつく

閉じられた瞳からは、やはり涙が滲んでいた

八戒「…三蔵。どう思います？」

三蔵「どうもこうも、本人に聞かなきゃ分からねーだろ」

八戒「あはは…ですよねェ」

静かな沈黙が流れる

八戒「…ところで、三蔵は休まなくていいんですか？あの部屋は使えなくなったとはいえ、個室はまだ余ってるみたいですけど」

三蔵「あんな事があった後だ。どうせ数時間もすれば日が昇るし、わざわざ新しく部屋を用意させる必要はねーだろ」

八戒「確かに、それもそうですね」

三蔵は吸っていた煙草を灰皿で揉み消すと、こちらに歩いてきてAが眠るベッドに腰掛けた

三蔵「…八戒」

八戒「はい？」

三蔵「コイツの過去の情報について、あれから何か進展はあったか？」

八戒「…いえ。正直、ここまで虫に怯えるなんて驚きました。苦手だとは知っていましたが…あれはもう、トラウマって感じですね」

三蔵「ああ。加えてフラッシュバックを起こしている様にも見えたな」

八戒「今回の件で、何か思い出したんでしょうか？」

三蔵「さあな」

僕とAは一緒に孤児院で育った

けれど、Aが10歳になった頃…

彼女は何者かに誘拐され、僕らは離れ離れになった

置き手紙には
『猪Aは、私が責任を持って育てます。ご安心ください♪』
と。

ちなみに犯人はまだ見つかっていない

そして僕が塾の講師をするようになってすぐ…

激しい雨の中、Aは突然姿を現した

…酷く痩せ細り、誘拐されてから今までの記憶を失った状態で───

A…君の身に、一体何が起こったの…？

─────

ガシャン

〇〇「やあ、お嬢さん。ご機嫌いかが？」

誰…？

〇〇「おやおや、ご飯くらい食べないと死んじゃうよォ？水は自分で飲んでるのかなァ？いやぁ、便利なことで」

影になって、顔が見えない…

〇〇「さて、そろそろお勉強の時間だ。行こうか」

お勉強…？

〇〇「そんな顔しないでよォ。前回より“大きい虫”を用意してみたんだけど…君も炎の扱い上手くなってきたから、きっとすぐに終わるよ」

嫌な予感がする…

〇〇「そうだなぁ…よし。じゃあ1時間を切ったらご褒美をあげよう。頑張ってねェ、可愛い魔法少女ちゃん」

ガシャン

どういう、こと…？

─────