【最遊記】桃源郷の魔法使い〔壱〕 (ページ13)

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Even③ ページ13

三蔵「ﾁｯ…A！さっきみたいに炎で糸を燃や…」

「〜〜ッ…」

呼ばれた本人は、ペタリと座り込んで朋茗を抱き締めたまま震えていた

更に、さっきまでは潤ませているだけだった目から涙がポロリと零れる

八戒「大丈夫。すぐ終わらせるからね」

「ご、め…なさ…っ…ごめ…」

八戒「…A？」

「やだ…ッふぇ…」

…様子がおかしい

八戒の声すら耳に入っていない上に、巨大蜘蛛…いや、どこか空(くう)を見つめたまま謝罪を口にしている

かと思ったら、今度は朋茗の肩に顔を埋めて子供のように泣き始めた

苦手ってレベルじゃねーぞ、これ

悟浄「…三蔵。この戦闘に関しちゃ、Aちゃんの力使うの諦めるしかないっしょ」

八戒もさすがに動揺していて、悟空も困惑している

三蔵「…だな」

すると蜘蛛女は「なるほど」と呟く

蜘蛛「“力”ねぇ…あの炎はやっぱり“魔法”…つまり、その女が“例の魔法使い”という事でいいかしら？」

俺と悟浄、我に返った八戒は「あ…」と声を漏らした

悟空「それが何だって言うんだよ！？」

悟浄「そーゆーと肯定した事になンだよバカ猿！」

悟空「だって事実だろ！？」

悟浄「バレると狙われるっつっただろーが！」

悟空「…あ」

ようやく気付いたらしい

三蔵「ったく…」

八戒「あはは…」

悟浄「結局こうやって、“魔法使いの正体”があっさり知られていっちゃうわけだ」

悟空「で…でもさ、狙われたら護りゃイイんだろ？」

悟浄「あー、ね。確かに今は護ってやらなきゃいけねー状況だわ」

チラリと相変わらずのAに目を向ける

「…手の掛かる奴だな」

八戒「まあ、いいじゃないですか。力を借りなきゃ勝てない程の敵ではないでしょう？」

悟空「確かに！」

悟浄「余裕余裕」

三蔵「俺一人でもいいくらいだ」

悟浄「…お前すでにボロボロで全然説得力な((」

三蔵「てめェから殺してやろうか」

悟浄「けっこーです！」

朋茗「ん………Aさん？」

ついに起きてしまったらしい

八戒「あー…スミマセンねェ、まき込んじゃって。少しガマンしてて下さい」

朋茗「ひッ…きゃあぁぁぁああ！？」

妖怪に気付き悲鳴を上げる

次の瞬間、銃声が響き渡った

蜘蛛の目に命中したらしく、糸が切れる

父「無事か朋茗！」

朋茗「お父さん！？」

ヨロヨロと親父さんが歩いてきた

その手には銃が握られている

八戒「Aッ…！」

八戒がすぐAに駆け寄ると、朋茗は親父さんと互いの無事を喜びに行った