【最遊記】桃源郷の魔法使い〔壱〕 (ページ11)

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Even① ページ11

悟浄「───おい、いるか八戒！？A！？」

八戒「悟浄」

少し慌てたように部屋に駆けつけてきた

悟浄「…ああやっぱ、お前らン所にも来たか。さっきの銃声は…」

眠そうにゆっくり瞬きを繰り返すAに目を向ける

その手には銃が握られたまま

悟浄「…でしょーネ」

だいたい察したらしい

悟浄「なぁ、こいつらが言ってる「紅孩児」ってのは一体何者なんだ？」

八戒「…確か、牛魔王と正妻・羅刹女の一人息子だったと思います。五百年前、牛魔王が討伐された際、紅孩児も西域・吠登城(ほうとうじょう)に封印されたはず───
彼の封印を解いた者が、今回の事件に関わっている可能性は高いですね…」

悟浄「ま、つまり「とにかく西へ行けや」ってこったろ？」

そう言いながら煙草を吸い始める

八戒「吸い殻その辺に捨てないで下さいね」

すると、建物全体がグラと揺れた

悟浄「そうだ。他の奴らは？」

八戒「三蔵は離れの部屋です！悟空は隣りの…」

ドゴッ

廊下に出るのと同時に、悟空の部屋から妖怪が放り出されていた

八戒「大丈夫ですか悟空！？」

悟空「何〜もう朝メシ？」

八戒「…いえ、残念ながら」

彼も半分寝惚けたまま倒したようです(苦笑)

悟浄「あ、おい待てッ一人で行くな！」

声のする方を見ると、いつの間にか完全に起きていたAを悟浄が追い掛けて行った

八戒「悟空、三蔵のところにも刺客が来ているかもしれません。僕らも行きましょう」

悟空「！おう」

蜘蛛「ふふいい眼。人間にはもったいないわ」

倒れている俺を見下ろす蜘蛛女

蜘蛛「───ねェ、徳の高い坊主の肉を食べると、寿命が延びるんですってね。もっとも、妖怪社会の中での言い伝えだけど。最高僧の証たる『三蔵』の称号を持つ者となれば、不老不死くらいもたらしてくれるかしら？」

そう言って俺の顎を掴み、顔を上げさせる

蜘蛛「近くで見るとキレイな顔してるじゃない。美味しそうだわ、ボウヤ」

三蔵「…近くで見るとシワまみれだなクソババア」

正直に言ったら、再び床に押し付けられた

蜘蛛「調理法が決まったわ！ミンチにしてあげる。見るカゲもないくらいにズタズタに引き裂いて…」

すると、纏っていた蜘蛛の糸が燃えて開放された

悟浄「やめとけやめとけ、そんなボーズ」

悟空「硬ーし生臭ーし」

八戒「煮ても焼いても食べられない人ですから♡」

三蔵「余計なお世話だ」

「大丈夫？無事？」

駆け寄ってくるAには、頭に手を乗せて応えた