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「……」
沈黙を肯定だと見做し、話を続けるA。
『親が天竜人の地位を捨てた途端に迫害されたと言っていた。その人自身の人となりを知ることもせず“天竜人”という肩書きだけで怨みの対象だ…』
『……実際に天竜人や海賊王から被害を受けた人達から見れば、確かに怨みの対象だ……分かるよ。分かるけど！』
ロシナンテの笑った顔が思い浮かんだ。
『どんな肩書きだろうと、その人自身を知ることもせずに悪だと決めつけるのは、私はしたくない』
Aは、蘇芳の瞳を真っ直ぐと見ていた。
『だから私は火拳を逃がすことにした』
「！！おま、『火拳自身がしてきたことを罪とするなら、私もこんなこと思わなかった』…」
形容し難い表情で話すAに、蘇芳は黙るしかなかった。
『……“相棒”は解消しよう。10年以上も傍に居てくれて、ありがとう』
蘇芳を抱き締め、最後に耳元でこう囁いた。
『愛してるよ蘇芳』
Aはそう言い残し、火拳の元へと走って行った。
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あと数秒でサカズキのマグマの腕が、エースの体を貫こうとしていた────
『……魚人空手。“鮫肌掌底・鮫瓦正拳”！！』
覇気を腕に纏い、渾身の一撃を、背後から心臓目掛けてサカズキに食らわせたA。
「ぐあっ！！」
血を吐き出し、崩れ落ちるサカズキ。
(ワシより強い覇気じゃと……！！)
背後にいる人物を睨み付けるサカズキ。
「何をしとるんじゃあ！貴様ぁ！！」
『何って…火拳を貴方から守るためです』
「！あの時の女海兵…！」
Aは素早く移動し、火拳を担ぎ上げて走り出した。
「うわ！何しやがる！海兵！」
『ジンベエさん！麦わら君を頼みます！』
「ああ！ルフィ君！しっかりしろ！」
「ああ…ありがとうジンベエ」
あの絶望的な光景からエースが助かったことに安堵したからなのか、気絶してしまった麦わら君。
「ルフィ！！！」
『相当弱ってるね…命が危ない』
「インペルダウンからずっと限界を越えて戦って来たんじゃ…どうしたら…！」
見聞色の覇気を使い、ある人物を探すA。
(！…ビンゴ！)
『ジンベエさん！海へ！全速力で走って！』
「お前！いい加減降ろせ！」
すると、背後から聞き慣れた声が。
「おおォ〜〜困るねェ〜〜A。そいつら何処へ連れて行くつもりだい〜〜？」
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作者名：斉和 | 作成日時：2023年11月16日 19時
