【ONEPIECE】狐面の男～『白死の黒』～【男主】 (ページ6)

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３話ページ6

ザワザワ･･････。

廊下に立っていた海兵達がざわめく。

理由は簡単。Aさんが歩いているから。

「･･･あのう、Aさん」

『何だ。』

「もっと早く歩いても大丈夫ですよ？私は。」

『･･･意味が分からないな。』

Aさんははっきり言うと、海兵達に恐れられている。

･･･海兵と言っても、中将以下の人達のことなのだけれど。

まぁ、当然と言えば当然だろう。

真っ黒の着物に、表情が読み取れない、狐のお面。

海兵達にとってみれば、Aさんは
「異質」で「異格」な「異人」なのだ。

･･･そして何より、【戯言使い】【欠落製品】【人間失格】と呼ばれる、その人格。

Aさんの部下が長続きしないのも、それらが原因なのだろうと思う。

･･･けど、優しいところもあると、私は思っている。

「私に合わせなくてもいいですよ？歩く速さ。
　わざわざゆっくり歩かなくても、大丈夫ですよ？」

Aさんが、少し間を開けて

『･･･自惚れるな、小娘。
　俺はお前に合わせてなどいない。普段通りだ。』

吐き捨てるように言って、また同じように歩く。

私が早く歩かなくてもいいぐらいの、ゆっくりな速さで。

私は、Aさんは「異端」は「異端」でも、優しい心の持ち主だとは思う。

この考えを同僚の海兵に言うと、
「出たな。リズの無理矢理ポジティブ。」
と、鼻で笑われる。

同僚達はあくまでも、Aさんを優しい人物とは認識したくないようだ。

それはやはり、「異端者」を自分達と同じように考えたくないからなのかも知れない。

『･･･おい、小娘。』

「はい？」

『何を呆けた顔してる･･････もう着いているぞ。』

「えっ」

ふと見上げると、大きな大きな白い扉。

元帥室の扉だ。

どうやら、私が回想に浸っているうちに着いていたようだ。

「えっと････私は、外で待っていた方がいい･･･ですよね？」

『･･･ああ。そうだな。』

「分かりました。
　では待ってますので、寝てたら起こしてくださいね？」

『･･････』

顔は見えないけど、冷たい視線を向けられた気がする。

けど私はそれを全力で無視する。

「元帥がお待ちですよ？
　早く行ったほうがいいんじゃないですか？」

『･･･ああ。』と、呆れられたような返事をされて、Aさんは元帥室に入っていった。