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喚き散らしながら抵抗して手こずると思われた女は、世の女審神者らにロイヤル一期と称される大人気な彼に捕縛というたかちであれ触れられるのが嬉しいのか両頬を朱に染めながら眉尻も目尻もたれさせて、顔全体を使って嬉しさを表現している。
未だに状況が飲み込めていない僕と歌仙兼定の方を向くと
「なんもされてねぇ?」
あまり抑揚のない、心配の声をかけられる。
どういうことなのかと混乱している僕の肩にぽん、と誰かの手が置かれる。振り返って、見上げれば手の主は山姥切国広であった。
「……これは一体どういうことだい。説明してもらえるかな」
歌仙兼定の説明を求める言葉に山姥切国広はことの経緯を話し出す。
僕と男女二人のやり取りをきいていた山姥切国広と前田藤四郎は怪しいと思い政府と特別鎮圧部隊に連絡。特別鎮圧部隊にも電話をしてたまたまでたのが仮眠をとっていたセイで、怪しい二人組の話を聞いてその二人が今巷を騒がせている新手の詐欺・代理審神者詐欺の犯行グループの者かもしれないから今すぐ向かう、そこで電話は一方的に切られてしまう。山姥切国広があらかじめゲートを繋いでおいたおかげでそれから三分とたたぬうちにセイが一期一振と同田貫正国を引き連れて到着。そして捕縛。
「さー撤収。サッサと帰って寝るぞぉ」
寝るぞぉの部分だけやけに嬉しそうに言ってセイはポケットに片手を突っ込んだかと思えば片手を引き抜いて小瓶を一つ僕に投げてよこした。慌ててその小瓶を掴む。握りしめた手を開いてみてみるとその小瓶は紅い爪紅の入った小瓶だった。
「ソレ、加州に渡しといてくれぇ」
じゃーなぁ。左手を左右に降りながら一期一振と同田貫正国、それに捕縛した男女二人をくくりつけている縄を引っ張りながらセイは去って行く。その後ろ姿を見送っていると
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作者名:新選組 | 作成日時:2017年1月1日 0時