俺がやった悪い事は、もうどうでもいいけどさ。最近、時間が過ぎていくと共に＿＿自分の命が削られていく気がするんだ【薫成り代わり三章】 (ページ28)

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七十五刻ページ28

「さて先々、説明してもらおうか」

比喩などではなく鬼の副長が目の前で説明を求めている。

・・・・巻き込んでごめん。姫野

ちらり、隣で若干寝ぼけた眼で状況が分かっていない姫野に心の中で謝罪する。俺が姫野が同胞であることをいってしまったせいで寝ていたところを起こされて、寝たいたところを連れてこられた。ほんと、ごめん。

千鶴様のことは何とかできたが、お千と君菊が帰ったあと、土方副長に説明を求められた。現在二対一土方副長と対峙している。その雰囲気は拒否権はないとばかりで、正直怖い。説明を求められているが、さて、どこから説明したらよいか。取り合えず自分が新選組にいる理由を話そう。

「俺たち、が幼いころ、雪村の里を、失った、あとのこ、とです。俺たちは、ある他里に、身を寄せることに、なりました。姫野は、故あって、江戸で、過ごして、いましたが」」

「本当か、姫野？」

「うえ、え、あ、はい。そうです」

眠気が完全に消し飛んだ姫野が返事をする。

「ところで先々さん、これはもう言ってしまったと思っていいですか？」

「あー、うん、ゴメン。巻き、こんで・・・」

「いえ、それはいいのですが。何故このようなことになったのか、教えていただけませんか」

お千と君菊が来訪し、千鶴様をつれていかれそうになり、やむなく―――A様に関わることは除いて―――自分等の秘密を新選組幹部らに告げたことを伝えた。

「まあ、それはしかたありませんね。―――僕のことについてですが、雪村の里が襲われた後江戸へ向かいそのまま江戸で過ごし、そのあとは皆さんもご存知だと思います。蛤御門が襲われた際に、先々さんが同じ里のものだと思い出しました」

同意を求める視線を向けられる。その視線に応えて頷く。

「―—―俺、には新選、組に、いるわけが、あり、ます」

「千鶴、か」

「はい」

俺が鬼であり元雪村の里の者であることを先ほど伝えたから、話が進めやすい。

「名は、言えま、せんが、ある方に、千鶴様を、守るよう、に命じられ、たからです。俺たち、は詳しいこと、知りま、せん。ですが、これだけ、は信じてくだ、さい。俺達は、新選、組を害する、気持ちは、ありま、せん」