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携帯と鞄を回収されて、完全に外と連絡が取れなくなった。


「君たちが人質になったのには理由がある」


チャイムが鳴ると、先生は起立と言った。誰がこの状況で普段通りにできるだろうか。

動かない私たちに、先生は手首に付いた爆発のスイッチを見せる。


脅迫


私はすぐに立った。みんなも立ちだす。


「これから俺の授業を始める。礼」


礼をしないとまた手首のスイッチをチラつかせた。スイッチを押そうとする仕草に指示に従うしかなかった。


「どうしてこのクラスは人質になったのか。はい、わかる人」



沈黙が続く。が、答えないとまたあの仕草をするのではないかと不安になる。でも間違えたらどうなるのだろうか。怖くて、何も考えられない。

先生は 宇佐美、と答えるように指名した。


「はあ、分かるわけないし」


「いや分かるはずだ。よく考えて」


「みんながぶっきーに酷く当たるから」


「なるほど。まあ確かに教師に対するリスペクトはゼロだよな。でもそんな理由でこんなスペクタクルな仕打ちしないよ」


先生は普段その態度に対して怒鳴って叱ったりはしなかった。以前先生に尋ねたことがある。先生は嫌なことを嫌って言わないんですかって。その答えはチャイムによって聞きそびれてしまった。


「ヒントは 他のクラスにはなかったことだ。じゃあ諏訪」


「警察沙汰になったやつがいる」

「てめぇ喧嘩売ってんのか」


「甲斐が起こした傷害事件か。まあでも確かにそれも関係なくはない」


甲斐くんが起こした傷害事件について詳しいことは知らない。関係があるってどういうことなのだろう。


先生は今は誰も座っていない席の前でとまる。そして、机を持ち上げ、音が鳴るように元の位置に戻した。この意味ありげな行動で気づいた。あの時のことを思い出した。


「君たちも分かってるはずだ。でも答えたくない」

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作者名:ono:) | 作成日時:2023年2月4日 0時

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