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「お前らは2階から呪具で撃て」


「了解」


リーダーの男に指示された数名が階段を駆け上っていく。




私たちはあの部屋から2階建てのホールのような場所に連れて来られた。


入口と対峙するように設置されたステージに私と茅乃は置かれ、2階や1階には入口を見張るように誘拐犯が待機している。




綿密に計画立てられたであろう無駄がない動き。

それに数は20人弱くらいだが、各個人が兵士並の戦闘力を保持しているようだ。




その上全員が呪術師だ。悟にとっては力の差は明確ではあるが、人質がいる状態では行動範囲が限られている。




なんとか茅乃だけでも逃がさなければ。




横たわっている彼女は、意識が回復し始めているのか。時々痛そうに顔を顰めている。



動ける限りで出口を探すが、このホールは出入口が1個しか見受けられない。



「何か一生懸命考えているようだがな、ここは五条悟にとって入口塞いじまえば袋の鼠。お前らにとっても逃げ場がねえんだよ」



私の思惑に勘づいた男は冷めた口調で言う。


「人質取ればあの五条悟もお前ら連れて逃げることも俺たちを皆殺しにすることも出来ねえだろうよ。だからお前は五条悟が大人しく死ぬのを見てな」



『……そう…ですか』


不意に泣きそうな衝動が喉元からせり上がってきて、それ以上何も言えなくなる。潤む瞳から溢れそうになる涙をぐっと堪えた。




「奴が来ました!!」



入口を見張っていた誰かがそう叫んだ。



その一声で全ての視線が入口に集中した。



私も視線を入口へと投げる。



静まり返ったホールに、廊下から聞こえてくる足音が響き渡った。




張り詰めたような緊張感。




ホールには一切の明かりが無く、穴の空いた天井から陽の光が差し込んでいるだけだった。



そしてその光は入口にある扉の半分の高さまで届いていて、闇から歩み寄る者の足を照らした。





陽の光が当たり、明るく照らされたボンタン(・・・・)




「……やあ皆さんお揃いで。私は悟じゃないよ」



微笑を浮かべて姿を見せた夏油さん。



「なっ____!?」


『え、』




同時刻。


私の後ろ、ステージ側の壁が崩壊する。


大穴が空いた壁から粉塵を(まと)いながら出てきたのは




「……覚悟は出来てんだろうな誘拐犯が」




青筋立てて最高にブチ切れている悟だった。

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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟
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怠慢のにぼし(プロフ) - 緑の白猫さん» ご感想ありがとうございます!そう言っていただけて、構成に頭を悩ませた時間も無駄ではなかったのだと嬉しく思います。 (2021年2月23日 22時) (レス) id: 8a1e62ce6d (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - ストーリーの構成も上手いし、時間軸の移動の仕方も上手いしで…。堪らなく大好きな一作です! (2021年2月23日 21時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
怠慢のにぼし(プロフ) - 琥珀さん» こちらこそ初めまして(*´ч ` *)こちらは五条悟オチになります。嬉しいお言葉ありがとうございます!本当に励みになります (2021年1月20日 10時) (レス) id: 8a1e62ce6d (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 怠慢のにぼしさん初めまして、この小説は五条悟オチですか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年1月20日 10時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:怠慢のにぼし | 作成日時:2021年1月19日 20時

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