２６話 Yukimura side ページ28
｢もう許してあげたら？私も全然気にしてないし｣
彼女はラケットを手に取って、肩を竦めた
ランニング、朝食を終えて、練習に向かおうとしている今に至るまで、赤也が必死で弁解してくるものだから心配になったらしい
……実際には怒っている訳ではなく、適当に返事をする俺に必死で言い訳をする赤也と、それを見て困惑している杠葉さんが面白いだけなんだけれど
とはいえ、あまりに無防備＿＿＿というよりは、異性という概念に対して無頓着そうな杠葉さんは少し心配になる
｢杠葉さんも杠葉さんだよ。平気で男を部屋にあげてしかも泊めるなんて｣
｢いや切原くんは普通に後輩だよ。それに、それを言うなら私もこの前幸村くん達の部屋に普通に入っちゃったけれど｣
確かにそうだけれど、彼女は植物の話がおもしろいと言って、不二君や白石君とも結構話しているから、俺達の部屋に来るのは妥当であるように思う
ああ言えばこう言うといった対応の杠葉さんになんだか溜め息を吐きたくなった
｢確かに赤也は手がかかるけど、そういう問題は起こさないだろうから今回は良いとして、将来変な輩に騙されないようにね｣
とりあえず、目の前のこの子が心配すぎる
俺と同い年なのに、赤也よりも鈍くて単純なのかもしれない
｢騙されないよ〜。私後輩いないから、ついつい年下には甘くなっちゃうんだよね。オバケ怖くて寝れないけれど、同じ部屋の人にはバカにされたくないとか可愛い｣
でも年下には騙されちゃうね、と杠葉さんはくすぐったそうに目を細めた
彼女は時々こういう笑い方をする
｢あっ、そろそろ練習始まっちゃう。ゴメン幸村くん、先にいくね。練習頑張って……っておーい、大丈夫？｣
｢あ、あぁ、ゴメン。杠葉さんも、頑張って｣
つい見惚れてしまった、なんて言えるはずもなく、当たり障りのない返答をして彼女の背中を見送った
鈍くて、優しくて、けれどテニスに対してはストイックで、本当に＿＿＿
いや、今は杠葉さんのように、俺もテニスに向き合いたい
２７話 Yuzuriha side→←２５話 Kirihara side
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 232人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「テニスの王子様」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月夜 - 続きが気になります。更新しないのですか？更新して欲しいです。 (2021年9月29日 9時) (
レス) @page45 id: f649cf9af2 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています！この作品はもう更新されないのでしょうか？ (2019年7月8日 22時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
和夢(プロフ) - 名前無しさん» ありがとうございます！頑張ります!！ (2019年1月6日 0時) (レス) id: e159a74c47 (このIDを非表示/違反報告)
名前無し - 更新楽しみです！ (2019年1月3日 23時) (レス) id: f919ba13cc (このIDを非表示/違反報告)
和夢(プロフ) - 桜さん» ありがとうございます！初コメ嬉しすぎて思わずスクショしてしまいました。(笑) 今後も更新頑張りますのでどうぞよろしくお願いします！ (2018年12月18日 19時) (レス) id: e159a74c47 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：和夢 | 作成日時：2018年12月2日 18時
