70.センセイ ページ22
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二宮先生の話はこうだ。
大我が夢の話、つまりミュージカル俳優を本気で目指したいと言ったのが高二の冬のことだった。
学年トップクラスの成績だった大我に、最初は二宮先生ですら難色を示したらしい。ただ、彼の目は今までにない本気の目だった。
なら、声出し感覚で一緒に練習しようと声をかけたのが二宮先生。水曜日は野球部の練習が休みで、なおかつ生徒の下校時間も比較的早いからと
屋上でひっそり歌を歌い続けていたのだ。
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和也｢あいつ、透き通ったガラス玉みたいな声しててさ。俺なんかより断然上手かった｣
｢でも先生のこと、師匠って呼んでたんですね｣
和也｢そう(笑)ちょっとだけポイント教えてみたら、まあ上達の早いことよ｣
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あの日、たまたま私が委員会の仕事で学校に残っていたから気付いたことで。
和也｢あいつは絶対成功する｣
｢私もそう信じてます｣
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珍しく真っ直ぐと私を見つめた先生に、私も強く答えた。
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和也｢ただ、この小論文は五十五点くらいかな｣
｢え｣
和也｢家帰ってちょっと考えてこい⋯ほら、｣
長針がカチッと音を鳴らして、最終下校時刻五分前を告げる。
私はぺこりと先生に頭を下げて、地歴公民準備室を後にした。
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秋が深まりかけた夕方の空はすごく綺麗で。
クリーム色のカーディガンを着た大我が、横でへっくしゅんと可愛らしいくしゃみをして、｢さみぃ｣と呟く。
｢冬生まれの癖に寒がりすぎ｣なんて私が言えば、｢関係ありませーん｣とあっかんべー。
学校から少しの間続く、並木道がさわさわと揺れる。今日は確かにちょっと寒いなと腕をさすった。
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私の少し前を歩く人影に、見覚えがあった。
見た目が少し変わっても、相変わらずスタンダードな型のネイビーのセーター。
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あんじゅ(プロフ) - えみりーたさん» 嬉しいコメントありがとうございます♡本当にお待たせしました〜(TT)次回の更新もお楽しみに！！ヽ(*´∀｀)ノ (2022年8月10日 23時) (
レス) id: b8ed25930e (このIDを非表示/違反報告)
えみりーた(プロフ) - はじめまして。ずっと更新待ってました！切ない展開に、胸が締め付けられてます。この後どうなるのか、ますます楽しみになりました。期待してます！ (2022年8月10日 22時) (レス) @page8 id: d4d342cc13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんじゅ | 作成日時：2022年8月10日 19時
