最終電車

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ずっと泣いてたから、
電話に出られなかったって、
本気で分かってないんだ・・・


何も言い返さない私に、


「お前から距離置こう言うてんのに、
泣くわけないよな」


あんまりにも、あっけらかんと笑うから。


胸が痛くなる。


「・・・本気でそう思ってるの？」


低い声で聞き返した私を見て。


「・・・え？」


信五が、息を飲んだ。


今までなら、流せたのに・・・


ラインで思ってたこと、
半分ぐらい吐き出しちゃったせいか。

感情が抑えられそうにない。


「えって、何？
私は泣くわけないとでも思ってるの？」


ギッて睨みつけたら、
信五がまん丸な目をさらに見開いた。


「いや、そんな事、言うてへんけど」


珍しく、あたふたしてる。

もっと、困ればいい。


「言ってるじゃん。
ずっと泣いてたのに。
ラインの文字が霞んで見えなくて、
誤字のまんま送るくらい。
喉がつかえて、
声が出ないくらいに泣いてた。
全部、信五のせいなのに。
ひどい」


睨みつけてた視線、外して。


ソファから落ちるように、降りたら、
信五も、同じように、
ずるずる、滑り落ちてきた。


「すまん。
悪かった。
無神経なこと言うて。
けどなんで泣くんや。
俺はお前と結婚しよう、
言うてんのに・・・」


心底、分かんないって感じの、
途方に暮れた口調。


「本当に分かんないの？
なんで分かんないの？」


「分からんから聞いてんねん」


私の顔を覗き込んでくる瞳が、
自信なさげに揺れてる。

ほんとは話なんていいから、
抱きしめてキスして欲しいのに。


いつも強引なくせに、
今日はなんにもしてこない。


でも、自分から言えない。


「頼むから、
何でも話してくれや」


「・・・私の本音聞いたら、
本当の私を知ったら、
信五、面倒になるかも、って・・・
雪乃さんの方が良くなるかもしれない、って。
色々考えるじゃん。
もうダメかもしれないとか。
マイナス思考にもなるでしょ。
普通、分かるじゃん」


話してるうちに、泣けてきて・・・

喉の奥がひりひり痛い。


ここ数日、ずっと泣いてて、
もう炎症起こしちゃってるせい。

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